ポンポン山の自然を守る懇話会                        4号  2013.年9月
 (略称・ポンポン山懇話会)広報誌






    発行責任者  大槻裕治  電話・FAX  075-331-2262 〒610-1145 西竹の里町1-9-4 郵便振替 (01070-5-7138)
 
 2013年ポンポン山カタクリの様子
  防獣ネットを張って3年目です。4月の天候が順調で例年通りの開花でした。4月16日の調査地点5箇所で259株花をつけてい ます。例年の2倍近く、全体として2000株近く開花したものと思われます。

 活動計画日程
 
  ・総会案内・・・10月14日(月)体育の日  南谷にて(京都市西京区石作町) 
           午前10時〜 芋堀り(予定)・炭焼き    午後1時〜 総会
           
 ・第2期総会討議内容(守る会から通算22期)
             
  食害・野性獣から植生を守る取り組み・盗掘防止・4月に行った要望がどれくらい実施されているかを点検。再度の申し入れの状況や里山管理のあり方の検討

炭焼き(第16期)は9月から始めます。
  

 例年通り来春までの毎週火曜日朝から夕方まで「みなんだ」で行います。どなたでもご遠慮なくご来谷下さい。共に楽しく良い炭を焼きましょう。

2013年1月号より抜粋

大原野森林公園の防鹿ネット張りが完成

平成24年12月30日

森の案内人 増戸秀毅

 

フクジュソウ防鹿ネット張り有志の会(ポンポン山懇話会、乙訓の自然を守る会、西山自然保護ネットワーク、個人参加)の皆様から4/4(水)から資材運び始め8ヶ月の間で24名の延べ204名に協力をいただき、11月末日にフクジュソウB地区に鹿ネット約500mが囲み終えました。

樹木の伐採など作業もほぼ終え、シーズンに間合い、防鹿、盗掘防止ができ、かつ多くのボランテイアのご協力により、スピードアップが図れまして、誠に感謝しております。かつての大きなフクジュソウの群落B地区の復活に大きく前進できそうです。

振り返りますと10年ほど前から大原野森林公園では鹿の食害で希少植物ははじめ、ササまで激減するなど広範囲に植物が無くなってきました。それに付随して、昆虫も極端に減少しだしました。

希少植物を守る防鹿ネットは2007年にヤマブキソウ群生地で簡易ネットは張り、2008年フクジュソウ群生地A地区に金網を張りました。その後ヤマブキソウ群生地は簡易ネットから金網や皆伐して拡張し、フクジュソウの群生地も皆伐して、拡張をしました。他にオタカラコウ群落地、フタバアオイ群落地、フタリシズカ、クモキリソウ、コケイラン、ユキザサなどについても同様に対策を行いました。

今年の2012年にジャコウソウ群落地(F・ポンポン山懇話会からネット50mを寄付いただいた)、ヤマブキソウの第二群落地、オオキツネノカミソリ群落地にも金網を張りました。特にオオキツネノカミソリ群落地では昨年は壊滅状態でしたが、春先に新芽の食害に会ったにもかかわらず、往年にはいたりませんが、かなり復活し安心しました。

防鹿ネットを張り終えたつかの間に、また新たな問題が発生しました。

フクジュソウA地区で、いままで無かったのですが、猪に金網を破られ、ユンボで掘り起こしたかのように壊滅状態になりました。

大きくなった花芽のフクジュソウの株が地面に掘り出されて、群落に大変な被害を受けました。応急処置としてポンポン山懇話会などからスカートにするネットをいただき、全体200mを囲み終え、ホッとしているところです。

本格的な対策として、電柵設置など協会に検討していただいております。

今後の森の案内人の活動は伐採や防獣害ネット設置の拡大より、今までのところのメンテナンスが中心になりそうです。

これからもどうかご協力をお願い申し上げます。

以上

ポンポン山周辺のギフチョウを守ろう(1)

                宮崎俊一(副代表)

ギフチョウは日本の本州だけに生息しています。春だけに飛ぶので「春の女神」と呼ばれ、あこがれの蝶です。

全国的には、太平洋側の生息地で絶滅が相次ぎ、環境省レッドデータブックでは絶滅危惧U類に指定されています。また京都府では1984年に天然記念物に指定されています。

京都市周辺では東山、北山、西山にいましたが、最近ではほとんどいなくなり、小塩山、ポンポン山周辺だけになってしまいました。

なぜ減ってきたのか

ギフチョウの幼虫はミヤコアオイという草を食べて成長します。この草が生えるのは落葉広葉樹林です。また成虫は、4月の落葉して明るい林を飛びます。こうした落葉広葉樹林は、縄文時代から薪炭林や堆肥用に利用され、明るい林です。炭焼きは谷ごとに皆伐して炭を焼きますが、切株から傍芽が出て、十数年もすれば元の林に再生します。ギフチョウはこうした林を渡り歩いていたチョウです。この広葉樹林が@戦後、杉檜の植林地に大規模に転換され A石油時代になって放置されて暗い森になり B都市化や開発され、というように大きく変わったのです。

小塩山、ポンポン山は@Bはほとんどなく、かなりの薪炭林が残っているので、何とか生息しているのです。

一方で、温暖化の影響が言われています。1950年代には標高100mの大原野神社付近にもいたのですが、今は標高400m以上です。これは温暖化の影響かもしれません。詳しいことはわかっていません。

ポンポン山、小塩山のギフチョウ生息状況は 

ポンポン山では10年ほど前には、西尾根、東尾根、逢坂峠に記録があります。最近は十分な調査ができていないですが、目撃情報がなく、心配な状況です。

ポンポン山の大原野森林公園は、生息の可能性が高いので、2013年は調査をおこないたいと思います。

また逢坂峠は、2012年11月に防獣ネットを200m張りましたので、安定した生息地になることを期待しながら調査をしていきます。
小塩山では西山自然保護ネットワークが2008年から定量的に生息調査をおこなっています。それは4月中旬の快晴の日に、定めた8か所で10分間の飛翔数を記録し、1か所当りの数を割り出します。グラフのように2008年から激減して、2012年は持ち直した感じですが、危機的状況と見ています。  (続く)





2013年9月号より抜粋)

ポンポン山周辺のギフチョウを守ろう(2)

今春のポンポン山、小塩山のギフチョウ生息状況は4/13は小塩山でギフチョウ8頭を観察していますが、ポンポン山の

3つの調査では観察できませんでした。藤井肇さんら森の案内人は週2回、主に西尾根からかまが谷のコースを巡回し

ていますが「ギフチョウは4/13も含めて見なかった」ということです。ポンポン山懇話会は頂上南東のカタクリ群生地(防

獣ネット)で対話活動をしていますが、佐々木ふじ子さんは「ギフチョウの飛ぶ条件が揃っていた4月10、12、13、16、

19にギフチョウは見なかった」と言っています。また乙訓の自然を守る会の佐野公明さんは「4/11、曇りだったが、頂上

から西尾根フクジュソウ生育地、そのあと頂上南東カタクリ群生地を調査したがギフチョウは見なかった」といっていま

す。逢坂峠南尾根は系統的な調査ができませんでした。小塩山について西山自然保護ネットワークの調査結果を以下

に示します。

グラフを見ると2013年は何とか維持している状況です。その要因は、

(1)3つの谷の防獣ネットでカタクリとともにミヤコアオイの大きな葉が増えてきた。

(2)10年近く常緑樹を間伐し明るい環境が増えた。これがミヤコアオイにもギフチョウ成虫に効果。

(3)ギフチョウ採集を抑えてきた。

小塩山におけるギフチョウ成虫数の推移


公園管理者京都市が、ギフチョウ回復計画を

京都市周辺のギフチョウは次々と消滅し、小塩山、ポンポン山周辺だけになってしまいました。ポンポン山は、最近は

目撃情報がないので消滅が心配ですが、10年ほど前には西尾根、東尾根、逢坂峠に記録がありますので、今手を打

てば回復の可能性があると思います。僕はポンポン山懇話会と西山自然保護ネットワークらが協力して広域調査をお

こない、ギフチョウ回復計画を立てることを提案します。最も急ぐべきはポンポン山ですが幸い西尾根、東尾根とその

間を流れるかまが谷は公園の敷地ですからいろいろの対策を打つことができます。まず公園管理者がギフチョウの危

機を認識し、ギフチョウ復活をめざす決意を持ってほしいです。そして私たちが提案する回復計画の内、公園内でやる

べき回復計画について話し合い、実行してほしいです。 (ギフチョウ回復計画は次号に)



以下は未完成で、次号に書きます。

1・ 今までのギフチョウ記録を地図に記し、産卵していた谷を推定する。現地を歩いてミヤコアオイの回復が期待できる場所を保全地とする。

2・ 保全地は基本的には昔の薪炭林施業をする。施業を考えて保全地は絞り込まねばならない。保全地について地主の同意をとる。

3・
 昔の炭焼きは主にコナラ、クヌギを使った。谷ごとに、10〜15年ごとに皆伐した。これらは伐採すると萌芽更新するので、若いコナラ、クヌギが維持された。落葉期は明るい雑木林で草本が生育し、ミヤコアオイも生育した。

4・  現在は、炭焼きが途絶えたので50年生のコナラ、クヌギが多く、また常緑樹が増えて暗い山になっている。そうなるとヤコアオイは株数が減り、ギフチョウの幼虫の繁殖に必要な群落が形成されない。またギフチョウ成虫は暗い森林に入ることを好まない。こうした森林を皆伐するのは大変な労力がいるので困難であるが、特に大径木を伐採し、地表に光が入るようにすることが大切である。

*毎月第4土曜日は保全活動の日
 時間・集合場所にご注意ください。配車計画について個人的にお願いしていきますので、参加希望の方は大槻まで連絡下さい
  
  9月28日(土)・10月26日(土)・11月23日(土⇒  カタクリ自生地・ネットの中の材木を運びます。
  
  12月28日(土)        フクジュソウ自生地の園路補修などを行います。 
  
  2014年1月25日(土)    フクジュソウ自生地の園路整備 
                     10:00案内所、11:00現地集合  鉈・鋸があれば持参下さい。 
  
  2014年2月22日(土)  ⇒ ポンポン山山頂直下カタクリ自生地の作業
                    ロープ張り・常緑樹伐採・野生獣からの食害防止作業   現地11:00集合


  2014年3月22日(土)      カタクリ特別園路を作ります。   11:00現地集合
                        くい打ち・ロープ張り・階段作り・(かけや・鉈・鋸あれば持参下さい。
 
  フクジュソウ開花時巡視・対話活動  2月15日ごろから3月末まで

 カタクリ開花時巡視・対話活動 ⇒    3月23日ごろから4月27日まで

  *年会費(500円)の納入をお願いします。