300名山紀行
荒船山(1422.5m) 妙義山(1103.8m) 赤城山(1827.6m)
榛名山(1411m)
2009年4月6日〜8日 山行者 5人
【4月8日】
荒船山(1422.5m)
群馬県の山、上毛3山を目指す。最初は入り口に当たる荒船山から掛かる。高槻を朝5時に出発し佐久のICを出て254号線を走る。この辺りコンニャクとネギが特産品で道筋に売り場が並んでいる。やがて、右手にズングリとした台形状の岩壁を持つ山塊が頭上に覆い被さるように現れて来る。黒い軍艦を思わせるような山だ。ぐるりと廻り込んでから小さな山村、相沢に着く。3台しか駐車出来ない小さな駐車場には、既に一台停まっていた。11:30で予定通り到着。
寒々とした涸沢に沿って、杉・桧の植林地の中を登って行く。黄色のアブラチャンが僅かに彩りを添えている。中の宮を祀る大岩が垂直に立っていて、道を塞いでいる。溶岩台地の岩でモロそうな岩肌であるが、見事な大岩である。
稜線直下には金属の手すり付きの階段があったが、残雪が固く凍り着いていて滑りやすい。アイゼンが欲しい所であるが、短い区間であった。
登り切った所は笹原の繁る広々とした水平な場所で、車が通れる程の大きな道が延びている。ここは船の艫に当たり、トモ岩があり、展望台があり、避難小屋もあった。7〜8人の登山者が休んでいる。途中には何も無く数百mものはるか下に車が走っているのが見える足のすくむ様な展望台であった。正面には雪を被った浅間山が白い噴煙を上げて大きく見える。安全柵の無いのが自然体で険しく感じる。
笹原の中の平坦な道を南に進み、船の舳先に向かう。雪溶けのぬかるんだ道を30分も歩いてやっと最高峰経塚山に到着する。行塚山とも京塚山とも書かれている標識があった。広くて大きな船の舳先である。ローソク岩や兜岩などの奇岩が他の山に望める。同じ道を引き返し、相沢の登山口に戻って来る。明るい太陽の元、のどかな村にはムラサキケマンが石垣にびっしりと咲いていた。
車を妙義神社の近く「道の駅みょうぎ」に回し、駐車場にテントを張る。満開のサクラの下で、雲一つ無い夜空に明るく輝く満月を望みながら夜を過ごす。
【4月7日】
妙義山(1103.8m)
高速道路から眺める妙義山は奇岩奇石が乱立していて、とても登れそうには無いように思えるが、表妙義山縦走路がありそのピークを総て通過できると言う。ザイルを持参して挑戦する。
妙義神社の赤い大きな鳥居をくぐると、ピンク色の大きなシダレサクラが崖の上から長く垂れ下がり、朝日を受け輝きながら優しく迎えてくれる。歴史のある古い神社であるが、裏山が崩れ修理工事をしていた。神社の裏手から登りにかかる。
涸れ沢を渡り登り切った所が「大の字岩峰」。金属で作られ麓からも良く見える大きな「大」の字が建てられていた。断崖絶壁の上で眺めが良い。その先に奥の院があり、いよいよ縦走が始まる。最初は30m3段の直立の岩壁。鎖が丹念に着けられているが、固定ザイルを張って登り切る。
360度の展望が開け、ビビリ岩・大覗き・見晴らし台など数百mもの足下には小さく建物が見え、両サイドの狭い頂陵が続く。何か空中を歩いているような感じで緊張の連続である。要所々々には鎖が固定されている。
天狗岳から大きく下った所が、タルワキ沢のコル。1つのエスケープルートであるが、朝まだ早いため先に進む事にする。コルから急坂を登り切った所が相馬岳で妙義山での最高峰、三角点が飛び抜けて立っている。広く少しゆったりとした場所でもあり、昼食とする。岩峰を巻くように岩尾根が続き、涸れ沢に少量の水の流れている所もあり、やがて「ホッキリ」に着く。ここもエスケープルートであるが先に進む。
最大の難所、鷹戻しに着く。50mもの垂直な岩壁に鎖がべったりと着いているが、足下は谷底へ、高度感があり足がすくむ。さらにハシゴを登る。行き詰まった所からは、岩壁の下降になる。25m2段の岩溝と垂直な壁。2回に分けて懸垂下降で降りる。賑やかな子供の声が向かいから聞こえて来る。小中学生を連れた5人家族がやって来た。子供は身が軽い。運動靴で軽々と岩壁を乗り越え登って行く。羨ましくもあるが、事故の無いように願う。
東岳手前で第4石門に下る。ビルの大きさ位もあろう大穴のある石門が構えている。もうここは遊歩道となり安全な場所であり一般客も見られる。難所のコースを縦走できた事にホッと荷が下りる。ひとまず休憩を取る。
妙義山の中腹に「関東ふれあいの道」と言う遊歩道が妙義神社まで通じている。平坦ななだらかな道で、今たどって来た岩峰を見上げながら、重い足をひきずり、2時間もかけて神社まで向かう。都合11時間の長旅であった。
車を赤城山へ回す。高崎から北に向かい17号線を前橋に向かう。この道は新潟に通じ、昔佐渡から江戸まで金塊を運んだ三国街道である。車が多い。「姫百合駐車場」は赤城道路の途中にあり、標高1020m天気の良いせいか多いに冷え込んだ。ここにテントを張る。
【4月8日】
赤城山(1827.6m) ・榛名山(1411m)
赤城山の最高峰は黒檜山となっている。すぐ下にある大池「大沼」は一面白く凍りついていた。湖面に張り出している赤城神社の赤い建物と赤い橋が対照的に明るく輝いていた。大洞の登山口から登りにかかる。鉄の階段がしばらく続き、よく手入れのされている登山道が登っている。駒ケ岳へ続く稜線に上がり込むと見晴らしが良くなる。富士山も見えるそうであるが、天気が良過ぎて一面モヤがかかり近くの山々さえ見えなかった。残雪が豊富にあり、駒ケ岳山頂でアイゼンを着ける。雪は程よく凍り付き快適に歩ける。急な木の階段を登り詰めた所が黒檜山山頂であった。広場となっていて暖かい日差しが照り付けている。休息を取る。
神社に向かって下って行く。谷合の急坂道で固く凍り付いた雪道に足元を注意しながら下って行く。1時間と少しで下り終え、赤城神社に詣でる。菊と葵と桐の紋のある神社であった。
次の山、榛名山に向かう。渋川伊香保温泉の繁華街を抜け、ジグザグに高度を上げて行き、標高1170mのヤセオネ峠に到着する。榛名山第2の高峰相馬山に向かう。ここは榛名神社の一部で黒髪神社となっていて、赤い鳥居がしばらく続いている。自然石の階段・鎖・ハシゴがあり急な参道の登りである。1時間ほどで神社に登り着く。狭い神社には20人近くの人達で一杯である。相馬山の標識も三角点もなかった。榛名富士と小さく榛名湖が見下ろせる。遠く新潟の山々が白くグルリと見渡せた。
車での帰りに榛名神社に寄って見る。長い参道が川沿いに登っている。側にはビルほどの高さで奇岩が直立していて、荘厳な感じになる。本殿奥にある「御姿岩」は、奇岩である。円筒のロウソク岩の上に丸い巨岩が乗っかっていて、白い熨斗が祀られている。どのようにして神主さんが登ったのか不思議である。凝りに凝った彫刻で飾られている本殿には古い歴史が感じられる。
3日間天候に恵まれ、充実した山行であった。日毎に気温が上がり、暑さを感じる日々でもあった。22:00に高槻に帰り着いた。
4/6 相沢(11:30)−行塚山(14:10)−相沢(15:50)
4/7 妙義神社(5:35)−相馬岳(9:40)−石門(13:50)−妙義神社(16:30)
4/8 大洞(6:00)−黒檜山(8:05)−赤城神社(9:25)
〃 ヤセオネ峠(11:30)−相馬山(12:10)−ヤセオネ峠(13:30)