300名山紀行    武尊山(ほたかやま)(2158.0m) 

 

 2009年8月16日         山行者 7人

 

 山名は日本(やまとたけ)武尊(るのみこと)からきたと言われている。日本武尊の東征に関する山々は幾つか伝説が残っていて、碓氷峠(うすいとうげ)四阿山(あずまやさん)両神山(りょうかみさん)()甲山(こうさん)神坂峠(みさかとうげ)・伊吹山などには言い伝えがある。しかしこの山には拠るべき資料が無いそうで、僅かに麓の武尊神社が旧記に残っている。古くから信仰の山として開かれ、岩場・鎖場のある行者達の修行の場であった。道は東側の花咲口が表道となっているが、我々は反対の西側から登る事とした。

 前夜は麓の宝台樹キャンプ場に一泊した。折からの夏休みで家族連達が多数やって来ていて、遅くまで騒がしくあまり良く眠れなかった。3時起床して、車で武尊神社まで移動し、4時から歩き始める。

 まだ夜は明け切らず、ライトの光をたよりに沢沿いの石ころの多い林道をたどって行く。涼しい風が谷から舞い上がり何とも気持ちが良い。昨日の谷川岳は8時から歩き始め、もうすぐに汗だくになっていたのと較べると雲泥の差である。沢沿いのコースとの分岐には1時間ほどで着いた。汗も出なくて快適である。もうすっかりと夜は明けていた。

 尾根に向かっての登りにかかる。カラマツの林が続き、やがてブナの大木が現われ、小沢を3回ほど渡りながら高度を上げて行く。尾根に出ると見晴らしが良くなる。シラビソの林に変わり、樹林帯に入る。避難小屋は分岐から少し下った所の滝の前にあった。

しばらく尾根歩きが続く。少しずつ登りになり、木の根が露出している道が続き、やがて大岩の立ちはだかっている鎖場が現れる。胎内潜りの標識があり、狭い洞窟が左に道を分けている。そこから都合4箇所の鎖場を這い登ると、ハイマツの林となり、高山地帯に入る。そして、急坂を一気に登り切ると武尊山山頂であった。

一等三角点の山で、方位盤がある。「御岳山大神」の大きな石碑がある。前月登った至仏山・燧ガ岳が近い。前々月登った皇海山が大きい。天気が良すぎて遠方は霞んでいるが、360度の展望である。新潟に近い群馬の山々が広く眺められた。南の尾根には気持ちの良さそうな笹原が続き、その先に剣ケ峰山がポッカリとした突起を見せている。笹原はなだらかな斜面となり、深い谷に向かって長く伸びている。

剣ケ峰の山頂へは1時間ほどで到着する。山頂とは名ばかりの狭い場所で、我々と反対回りに登って来ていたグループ5人に占領されていた。大阪からの登山者である。ゆっくりする間もなくすぐ下る事にする。

沢沿いへの下り道は最初は急降下ではあるが、やがて幾つかの小さな沢を横切りながらの気持ちの良いコースであった。12時前には、駐車場に帰り着いた。汗も殆どかかなかった快適な山行であった。

 

 

武尊神社(4:00)−武尊山(7:30)−剣ケ峰山(8:55)−武尊神社(11:20