300名山紀行     浅 草 岳 1585m

 

 2010年8月1日           山行者  5人

 

新潟県と福島県の県境を東西にまたがる山で、ズングリとした大きな山容の山である。ヒメサユリの多い山と言う。今は時期がずれている為はたしてどうか。

JR只見線大白川駅から林道に入る。終点ネズモチ平駐車場までは一部地道もあるが、まずまずの道路である。車が100台も入れるであろう程の大きな広場があり、トイレ管理事務所もあり、20台近くの車が停まっていた。大阪を5時に出発しすでに今は13時、登山者達が次々下って来ている。

重苦しい黒雲が空を覆っていて、谷筋にはガスが立ち込め、湿度が高く異常に蒸し暑い。汗が滴る。谷筋の急坂の石ころ道をしばらく登る。2時間ほどで、中岳と言う頂上一帯の肩に出てくる。風が通り幾分涼しくなったが、ガスの為展望は全く望めない。

木道がこの辺りから山頂まで巡っていて、一面がお花畑のようである。黄色の穂が立ち並ぶキンコウカが霧の中に揺れている。今はこの花だけ。雪渓が僅かに残っていた。浅草岳山頂はこの木道の先にあり、狭い場所に大きな一等三角点があった。

下山は桜ソネへのコースをたどる。黄色のタマガワホトトギスが、緑濃い樹林の中でヒッソリと咲いているのが印象的であった。下って来た駐車場にテントを張る。夕立が時折降ってきたが、夜も一向に涼しくはならなかった。

 

ネズモチ平(13:00)−浅草岳(15:35)−桜ソネ−ネズモチ平(17:30

 

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会津朝日岳1624.2)     2010年82

 

いの一番に朝日が当る山、大きな山である。只見町はこの辺りでは比較的大きな山村で、この奥にある「いわなの里」から登山道は始まっている。

しばらくは沢沿いの道を辿る。綺麗に草刈りがなされていて、身の丈以上のヤブが刈り込まれ、垂れ下がっていたであろう幼木の栃の小枝が整理されている。つい最近のようで生々しく、山頂まで綺麗に続いていたので非常に歩き易かった。地元の人達がこの山を大切にしている事が良くわかる。

「三吉ミチギの水場」は、冷たい湧き水が流れていて憩いの場所である。雲が低く垂れ込み、今日も蒸し暑い。ブナの大木が全山に見られ、緑濃い広葉樹林が広がり、東北特有の豪雪に洗われた岩肌が白く光り、深山幽谷の山に来た感じがする。急な登りも丹念に何回ものジグザグ道になっていて何とも歩き易い。真っ赤なタマゴタケが生まれたばかりなのであろう水々しく輝いている。

「人見の松」と言う所で、急坂が終わり尾根の上に出る。この辺りは五葉松の大木が幾つか見られる。樹齢数百年もなるであろうクロベ(ネズコ)の大木が2本、尾根筋に保存木として直立していた。展望台があるが、谷筋までガスが垂れ込んでいて展望は得られない。

熊の平のコルは少し湿地帯になっていて、靴が沈む。少し開けた高所に立派な避難小屋があった。いよいよここから山頂に向けての最後の登りにかかる。一旦コブを越えてから沢筋に出る。こんな高所にもまだ水が流れていた。見上げるような露岩が立ちはだかっていて、垂直に近いその先が山頂であろうがガスがたなびいていて良く見えず幾分凄みを感じる。登るルートは草に隠れていて確認できないが、丹念にロープが幾本も垂れ下がっていて、これをたどれば容易に足場が見つかる。30分もかかりようやくよじ登った所はゴツゴツとした岩場があり、やっと着いたかと思ったがそこは山頂ではなかった。さらに右に稜線を5分ほど辿り、幾分低い位置に山頂の展望盤と三角点があった。狭い場所に何故にこの場所なのかよくかわからない。展望の良い所だそうだが、ガスで全く望めなかった。

東北の山らしく重畳たる山並、原始林に覆われた山深い山塊、大きく堂々としている山頂、真に良い山であった。帰りは登りと同じコースを下り、登り口の小さな駐車場にテントを張る。冷たい渓谷の水に火照った身を沈め、暑かった1日の疲れを癒す。至福の一刻、酒が美味い。昨日よりは涼しい夜であった。

 

イワナの里(7:00)−避難小屋(10:45)−会津朝日岳(11:45)−イワナの里(15:00

 

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御神楽岳(みかぐらだけ) 1386.6m    2010年8月3日

 

山の上の方から神楽の音が聞こえて来ると云われる優雅な山名であるが、岩壁凄まじい岩場の山である。比較的易しい沢沿いからの道をとる。JR只見線本名(ほんな)駅の近くに大きな本名ダムがあり、その対岸から林道が登っている。当初駅の手前から林道に向かった所、沢には金属製の小さな吊橋がありビックリしたが、かろうじて車が通過でき、林道に上がり込むと立派な道に出合いホッとする。地道ではあるが巾広く整備されており、30分ほどで登山口に着く。

ガソリンの臭いに寄せられるのか、たちまちアブの大群がやって来る。沢筋にある()乙女(おとめ)ノ滝が名所のようで、幅広の霧来(きりきた)沢にはゆったりと清流が流れ、サワグルミ・トチの大木が繁り、散策コースの気持ちの良い道のようであったが、なにしろアブの攻撃が止まらない。この糞暑いのに雨合羽に身を固め、覆面、手袋それでも数百匹のアブが真っ黒になるほど襲ってくるのには閉口した。1時間ほどは一歩も留まる事も許されず、ひたすら歩き、尾根に取り付いてから少し高度を上げるとやっと退散した。裾から這い登った幾匹かが背中を刺してヒリヒリする。瞼も刺された。

登りの道は急坂ではあるが短い。1時間ほどで避難小屋に達する。深い樹林の中に埋もれるように背の高い縦長の小屋があった。冬の豪雪がうかがわれる。ここから僅かで本名御神楽岳に達する。雲が切れ直射日光が差し込んでいて、眺めは良いが木陰が無くて何しろ暑い。笹藪の日陰に逃げ込んで涼を取る。谷筋には豊富に雪渓が残っていて、冷やされて雲となり巻き上げてくるので幾分涼しい。

ここから山頂への道は悪い。一方は崩れ落ち、道は無くなり、藪を踏み倒しながらの道が登っている。悪い事に青空が覗き、強烈な日光が背に差し込んでくる。首筋が焼け付けるように熱い。山頂には皆熱中症気味にフラフラとしながら到着。木陰も無く見晴らしの良い所ではあるがすぐさま引き返し、ヤブの中の日陰に避難、しばしの休憩。

本名御神楽岳に帰って来てから東の尾根を下る予定であったが、こちらのコースは登山禁止となっている。岩場があるので崩れているのであろう、仕方なく登って来た同じ道を下る事にする。

沢沿いの道は、幾分アブは少なくなっているとは云えまだまだ多い。合羽に身を包み慎重に下って行く。車の周りにもまだ群れていた。こんな場所にも二人連れがキャンプをしにやって来て、テントを張っていた。

本名駅はトイレも水道も無い待合所だけの駅であった。車を移動させて、会津のマッターホルン蒲生岳登山口の駐車場にテントを張る。本日は難行苦行の暑い一日であった

 

三条登山口(6:35)−御神楽岳(10:55)―本名御神楽岳(12:10)−三条登山口(15:00

 

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() (もん) (たけ) 1537.2m    2010年8月4日

 

最後の山である。鳥が巣守をする山と云う意味で、巣守神社がある。保久礼(ほつきゆうれ)小屋という山小屋まで立派な林道が登っている。雲一つ無い上天気で暑くなりそう。駐車場は広い。そこから少し下った所に小屋があり、登山口になっている。

コンクリの階段が丹念に付けられ、一本調子に登っている。1時間ほどでキビタキ小屋があり、さらに1時間ほどで三角点のある大岳に着く。途中の水場は道から離れている為寄らなかった。ここから南の方向に幾重にも山稜が連なり、その先に山頂がある。夏雲が沸き立ち相当の距離があるように思えた。

 一旦コルまで下り登りにかかる。東面の谷底には豊富な雪渓が残っていて、涼しい風を吹き上げてくる。笹原の中に黄色のニッコウキスゲが鮮やかな色で咲き乱れている。道端には薄モモ色のミヤマママコナが今を盛りに咲き続け、ショウジョウバカマに似ているのはノギラン、地味な色合いで咲いている。白い小さい花を忙しげに付け精一杯咲いているのはホツツジとオオコメツツジ、仲良く並んでいる。日差しはキツイが空気は爽やかである。

 青雲岳はお花畑となっていて木道が巡っているが、今は全く花は無い。シラネアオイなどがあるそう。ベンチがあり展望も良い。そこから一登りで山頂であった。やはりここも暑い。木陰でしばらく休む。

 帰りは同じ道を下って行く。人気の山なのであろう、青雲岳付近では次々と登山者達が登って来ているのに出合う。ぬかるんだ滑り易い道を足場に注意しながら下り、駐車場に帰り着いたのは15時近く、暑さの一番キツイ時間帯であった。

 守門温泉青雲館の温泉で一浴してから帰途に着く。

 

保久礼登山口(6:50)−守門岳(10:55)−保久礼登山口(14:15

 

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