300名山紀行    秋田駒ヶ岳 1637.4m

 

 2010年9月27日             山行者 5人

 

 大阪を19:00に出発し、途中5時間の仮眠、ここ秋田駒ヶ岳の八合目小屋には14:00に到着する事が出来た。小屋はバスの発着事務所の様で開放されていて宿泊も可能、立派で綺麗な大きな小屋である。毛布も用意されている。今夜はこの小屋にお世話になる事にする。昨日までの猛暑もここでは寒風が吹き上げ、寒くて堪らない。合羽を着込む。下界は晴れていたがここは数m先も見えないほどの濃い霧に覆われ、この霧の中駐車場には10台ほどの車があり、数人の人達が登山を終えて降りて来ていた。

 濃い霧の中、登山口を確認し駒ケ岳を目指して出発する。本日は標高差337m3時間ほどのノンビリ山行である。周遊コースを右周りに、良く踏み込まれた火山礫の道を緩やかに登って行く。濃霧で全くどこを歩いているのか分からない。オヤマリンドウ・ミネウスユキソウなどが見られた。1時間ほどで木造の道が現れ湿原地帯となっている。黒々とした池の淵を歩いているようで、阿弥陀池であろう。やがて小屋への分岐があり頂上への急坂を登る。

 岩を積んだ山頂に出る。眺めの良さそうな所であるが烈風が吹きつけユックリも出来きない。田沢湖が眼下に大きいそう。帰りも同じ道を下って行った。

 

八合目小屋(14:05)―秋田駒ヶ岳(15:25)―八合目小屋(16:30)

 

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和賀岳 1440.2m      2010年9月29日 

  

昨日は雨の為移動日とし、ここ和賀岳登山口にやって来た。旧マタギ小屋跡となっているが、真新しい立派な避難小屋が建っている。無人で綺麗、水は玄関入口で勢いよく流れている。2階に上がるハシゴが難しそうなので、全員一階に寝る事にする。夜半風を伴なったスコールのような大雨がやって来た。

朝は晴れていた。林道を10分ほどで「甘露水」があり、登山口が始まっている。薄暗い中、周りはブナ・トチ・ミズナラなどの原生林に囲まれその真っ只中を歩いている事を感じる。ユックリと夜が明け、巨大なブナが次第にその全貌を現し、天高く枝を張り多くの葉っぱを広げている様が見られるようになる。真さに日本の山である。昔からの懐かしい本来の山の姿がある。この山には日本最大のブナの樹があると言う。出会って見たい。「ブナ台」と標識があり、気持の良い登山道が続いている。

水の多い沢筋を横切りひたすら登る。薬師岳に登り切ると稜線に出て来て眺めが良い。谷を隔てて逆コの字型に緩やかに稜線が延びていて、すぐ正面には和賀岳が望まれる。日本海が見え広い秋田の平野と小さく町並が望めた。山頂は雲の往来が激しく風の強い事がうかがわれる。

薬師平への稜線は笹原で、北風がまともに吹き上げて来て寒さを感じ、一枚着込む。冬の風である。緩やかな稜線が小さな起伏を重ねながら続いている。お花畑や地塘などもあり、シーズンには百花繚乱で賑わう事であろう。

山頂は烈風が吹きつけていた。季節の変わり目、飛ばされそうな風である。不運、追われるが如く山頂を後にする。360度の大展望で奥羽山脈の遥か先まで望めるそうであるが仕方が無い。尤も東北の山は初めてでもあり、まだ山の特長や地理がはっきりとわからず、グルリを重厚な山々に取り囲まれてはいるが山名が判らない。追々判る事であろう。下山は同じ道を下る。

 

小屋(4:50)―薬師岳(7:40)―和賀岳(9:30)―小屋(12:40)

 

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               焼石岳 1547.9m      

2010年9月30日

 

平成20年の岩手宮城内陸地震の被害により尿(しとう)(まえ)林道は閉鎖されていた。ツブ沼コースからの登山に切り替える。登山口のある「ツブ沼キャンプ場」がわかり難かった。大きなダムが建設中で、道路マップに無い新しい道路が通じていて、旧道に僅か左に入って行く標識が見つけ難かった。キャンプ場は広々としていて、管理事務所はあるが無人で無料である。水道のある炊事場にテントを張った。夜半、一台の車が入って来て近くにテントを張っていた。

天気は快晴、そんなに冷えこみは無かった。車道の傍から登山道は始まっている。薄暗い中、出発してからすぐに足元に大量のクリが固まって落ちているのが見受けられた。栗林になっている。帰りに拾う事にする。やがてブナの樹林帯に入って行く。東北の山はブナの森が多くその範囲が広いのが特長である。ブナ林の道は歩き易く気持が良い。心が落ち着き楽しい道である。ユックリと登って行く。

岳山は山頂を通らず、巻き気味にわからない内に下って行く。広い湿原地帯に出合い、中沼コースとの合流点に到着する。3時間かかり中沼コースよりは1時間余分にかかったが、ブナ林が楽しめて良かった。

銀名水避難小屋は少し高台にあった。頭上を頻繁にヘリコプターが往復していて、登山道補修用の丸太を運んでいるそうで、作業者がこの小屋に泊まっている。

ここから湿地帯に入り、木道が所々通じている。花の無い葉っぱだけのイワイチョウの群落が多数見られる。ダイモンジソウが華やかに綺麗に咲き、道沿いに何処までも案内してくれている。チョウジギクが奇妙に首を垂れ黄色く咲いている。ウメバチソウが恥ずかしそうに白く咲いて少しだけ見られた。沢筋の湿地帯は少しずつ高度を上げ、やがて水の流れている沢になり、そして石ころのゴロゴロしている枯沢の道になり、しだいに峠に登って行く。

山頂はコンモリとした丸山の上にあった。天気は良好展望も申し分無し、しばらく休憩する。鳥海山が富士山に似た優美な姿で裾野を広げて近くに見える。グルリと東北の山々が取り囲んでいる。夫婦連れが反対側から登って来た。東京からの人、楽しそうにカメラに収まっている。

下山は同じ道を下って行った。小屋泊りの登山者達が幾パーティも登って来ているのに出合う。道路からも近いため入山し易いのであろう、冬にも登られているようにも思えた。人気の山である。

登山口近くで、朝見つけておいたクリ拾いに興じる。未だ青いイガの中にあったが、小さいが美味しいヤマクリであった。大量に収穫する。

 

ツブ沼(5:00)−中沼分岐(7:55)−焼石岳(10:00)−ツブ沼(11:15)

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神室山 1365.2m      2010年10月1日

 

神の住む山、古くからの信仰の山であった。かつては宿坊などもあり賑わっていたそうであるが、今は全くその面影は無い。役内村から沢筋を登り尾根筋を下る周回コースを取る。役内集落ら登山口までの2Kmの林道は、ガタガタ道で非常に悪い。登山口のある広々とした駐車場にテントを張る。夜は満天に星が出ていた。冷えこみは無かった。

薄暗い内から出発する。大きな林道がしばらく続いている。やがて沢沿いの山道となり、清流を眺めながらの気持の良い道。やがて第一吊橋に到着する。金属製のスマートな吊橋になっている。そして第二吊橋に着く。ここも同様の金属製である。本の写真では木製の頑丈な吊橋で、対岸の大木からロープを垂らした古風な形をしていたので、その姿を楽しみにしていたがガッカリである。

第三渡渉点も水量がそんなに多くなく難なく渡る事ができ、不動明王の祠には2時間ほどで到着出来た。ここからブナ林の中の急登が始まっている。胸突八丁と呼ばれている1時間ほどの登り、やがて緩やかとなり草原の中に出て来る。「クマのひるね坂」と呼ばれている大きく開けた所で御田の神が祀られている。見晴らしが良くなり、前神室山の山稜が見上げられる。この辺りがお花畑なのであろう、広々とした草原に今咲いているのはサラシナショウマとセンジュガンピぐらいのものであった。

稜線に上がり込むと、形の良い神室山山頂が初めて見られた。南の方面の山並は月山・朝日連峰などであろう。西の方向にはなだらかに裾野を延ばしている鳥海山が優美な姿で浮かんでいる。

稜線から一旦下ってから山頂に向かう。快晴無風穏やかな山頂である。神室山避難小屋が直ぐ下に青い屋根を覗かせているが、閉鎖されているそう。暫く山頂で展望を楽しむ。

下山は尾根伝いに前神室山に向かう。登山者が一人勢いよく追い抜いて行く。対面からは一人の登山者がユックリと登って来ている。登山者の少ないまことに静かな穏やかな山である。第二ピークと第一ピークを過ぎると、ブナの純林の中、急な下りに入って行く。複雑な形をした巨大なブナが林立し、又小ぶりなブナが密集している気持の良いブナ一色の森である。

 

西ノ又登山口(4:45)−不動明王(7:00)−神室山(8:45)−前神室山―西ノ又登山口(12:05)

 

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船形山 1500.2m   2010年10月2日

 

登山口のある大滝キャンプ場までの車道は悪かった。林道21kmは凸凹の道で車は大きく揺れた。到着が遅くなった為、真っ暗闇となりキャンプ場の駐車場と水場がわかり難かった。何とか辿り着け、水場の近くにテントを張った。

 本日は大阪へ帰る日、ラウンドの簡単4時間コースとする。明るくなってから出発する。しばらくは大きな林道を進みやがて自然にブナ林の中に入って行く。小さな沢を幾つか越えながら次第に緩やかに登って行く。暗いブナ林にユックリと朝日が差込み、次第に夜が明けて行く。鳥のさえずり、気持の良い朝である。

 笹藪となり急坂を登り切ると、「御来光岩」と呼ばれる展望台に出て来る。大きな岩の上に上がると360度の大展望である。今日も天気は良い。鳥海山が近い。山頂はそこから僅かであった。広々とした山頂で傍に立派な小屋があった。見下ろす「千畳敷」と呼ばれる平原は見事に紅葉している。斜めに朝日を浴びてキラキラと美しく輝いていた。真っ赤なモミジの無い渋いオレンジ色である。

 升沢小屋までへの道は、水の流れている沢の中の下りで、飛び石伝いに下って行く。今日は土曜日、幾人もの人達が登って来ているのに出合う。人気の山なのであろう、46人ものグループもあった。その中に2日前に焼石山山頂で出会った東京の夫婦にも又出合った。行く山は皆同じであると思う。

 「三光の宮」には、月・星・太陽を描いた石碑があった。その展望台から、船の形をした山頂が樹林の間から望まれた。

 キャンプ場に降りてくると、10台近くの車が停まっていた。あの悪路を上って来ているのである。水汲みに来ているトラックもあった。「人命水」と書いてあり、延命長寿の水である。週末は賑わう山であった。多人数のグループは他のコースを登って来ているのであろう。

 今日は高速道路の安い日、一気に帰路に向かう。東北の山は総じてなだらかな山が多く、険しい山は少ない。標高は2000m内外なので夏は不向きである。植林は少なく、ブナ林が残されていて草原が多い。花の咲く6〜7月頃が最適の時期のように思えた。

 

 大滝キャンプ場(5:10)―船形山(7:00)―大滝キャンプ場(9:30)

 

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