2010年9月4日
糸魚川市青海町は今度同行されたN氏の生まれ故郷であるとは知らなかった。俺が故郷の山、小学生が行事として登られている山であるが、氏が幼かった頃の事であり登られてはいない。伊吹山と同じ全山石灰岩の山で、北面は山頂近くまで削り取られていて、今もなお電気化学工業が採掘を続けている。登山道はこの工場の中の道路を使わせて貰っていたが2年前から中止になり、南側の橋立集落からの清水倉登山道から登るようになっていた。
橋立登山口には、車2台がやっとの小さな駐車場があり、すでに一台秋田NOの車が入っていた。背の丈もありそうなほど良く茂った雑草を掻き分けて道は始まっている。周りは杉の植林地のようで、良く見ると昔の段々畑の棚田が幾段も一帯を占めている。道は農道のようで、平坦な道が弧を描きながら緩やかに上に延びている。ノブキやハナミョウガが地味な花を着け畑地に数多く見られる。湿地帯にはウワバミソウが多く、そしてマムシが多いと聞いていた。注意しながら歩いて行くと、何と少し開けた道の真ん中に湯気の出そうな程の真新しい黒々とした物体がうず高く盛り上がっている。熊の糞である。あわてて腰に鈴を着ける。程無く一人の登山者が追いついて来た。昨年8合目付近で小熊2頭を目撃し単独の為登山を中止し、再度やって来たと云う群馬の人。けっして前に出ず、最後までズッと後ろにくっ付いて来ていた。
農道を一時間ほどで、やっと登山道らしく急坂が登っている場所に来る。クルミ・トチ・ナラなどの広葉樹が競うように背を高くし、ソヨソヨと風を呼んでいる。それにしても蒸し暑い。標高が低いからなのであろう、タオルが絞れるほどに汗を掻いている。登山口は標高100mである。
砂地の急坂を一直線に暫く登り、やがて向きを北の方向に替えトラバース気味に周りこんで行くと、「水飲場」と書かれた標識のある少し開けた場所に出て来る。しかし溜まり水も無いほどの沢で顔も洗えない。飲み水になる時期があるのであろうかと思う。石灰岩の為伏流なのであろう。ここから狭くて深い涸れ沢を沢登りの最後の詰めようにして登って行く。
尾根に出て来て北側からの道と合流する。さらに一登りで頂上へ続く稜線に出て来て展望が良くなる。初めて黒姫山山頂が望め、遮るものの無い展望が広がっている。日本海とそれに続く栂海新道、遠く白馬まで見えるそうであるが、重苦しく雲が垂れ下がっていてはっきりとは分からない。日差しがきつく岩が焼けつていて暑い。
山頂までへの稜線は鋭く突き出ている石灰岩の岩陵の連続で、道は無く岩の上は歩きにくく手間取り30分近くかかりやっと山頂に達した。二人の登山者が休んでいた。ここも日差しがキツイ。独立峰の為展望は良い。小さな鳥居と背丈ほどあるコンクリート製の黒姫権現の大きな祠があった。立派な三角点が傍にある。暑いのですぐに下る。
往路は同じ道を戻る。熊の糞付近では、黒々とした日本カモシカが1頭、沼地の中でノンビリと遊んでいた。この山は遠方からの登山者が多い。200名山志向の人達の山である。最後まで水の流れている沢はなかった。
橋立(7:00)−黒姫山(10:50)−橋立(13:30)
***********************