< 北アルプス 赤牛岳2864m 

 

  2002年7月27日〜30日        山行者 5人

 

 北アルプスの秘境のコース、赤牛岳へ行きました。黒部川をさかのぼり尾根を末端から取り付いて水晶岳に至るコースは読売新道と呼ばれ比較的新しい。また北アルプスの真ん中に位置していて展望のよいコースですがアプローチが長いため敬遠され人は少ない。水場が無く暑い季節には苦労しそう。

 

【7月27日】

 

扇沢(6:30)―黒部ダム(7:00)―平ノ小屋(11:20〜12:00)―奥黒部ヒュッテ(15:00)

 

扇沢からのバスを朝一番6:30に乗り、黒部ダムに降り立つ。5〜6台のバスは満杯状態であったが、平ノ小屋に向かう登山者は我々だけのようでほとんどの人達は立山に向かったようである。雲一つ無い快晴の空、今日も暑い日になろう。

 黒部湖を見下ろしながら、水平道をひたすら平ノ渡しを目指す。船は10:00と12:00のためゆっくりと出来る。労山で5年前に大勢で五色ヶ原に来た事が懐かしく思い出される。風が無くて蒸し暑い。遊覧船が涼しそうに音楽を奏でながら追い抜いて行った。小屋では5〜6人の登山者が12:00の船を待っていた。

 対岸に渡ってからが初めてのルートである。黒部湖沿いの急な斜面に細い道が丹念に付けられているが、随所に大きく崩壊した谷に出会い都度大きく巻き道がつけられている。垂直にハシゴがかけられ大きく登ってから、また大きく谷底にハシゴを降りて行く。何回も何回もハシゴの登り降りが続く。ハシゴはキッチリと整備が済んでてしっかりとしている為安心である。黒部湖はやがて黒部川となり川の流れは勢いを増してくる。釣り人の船はここまで入り込んでいて、人の姿が岸辺に見られる。

 広々とした開けた所に出て来る。奥黒部ヒュッテである。こちら側から登る人は居ないようでテント場にはテントが一つ張られているだけであった。黒部上の廊下に入る人であろうか。

【7月28日】

(5:15)―赤牛岳(11:40〜12:30)―高天原分岐(15:00)

 

今日も天気が良さそう。テントがびっしょりと夜露に濡れていた。今日のコースには水が無い為、各自大型の水筒に水をたっぷりと詰め込んで出発である。

 樹林帯の中を朝の涼しい内にと早めに出発する。風が無く蒸し暑く汗がしたたる。昨日は一日中歩いても高度計は1500mのままであったが、今日はグングンと高度を稼いで行くので楽しみである。赤牛岳まで高度差1300mを7時間の登り、じっくりと行こう。道は最近手入れが終わったのであろう真新しいハシゴが付けられている。道具や機材の残りが見られ人の少ないコースでありながら丁寧に道は整備されている。小さな足場にもキッチリと補強がされていてありがたい。

 森林限界を抜けると展望が開けて来る。北アルプスのど真ん中、白馬から穂高まで全てが見渡せる。薬師岳・立山が大きい。赤牛岳は目の前に赤い地肌を見せて立ちはだかっている。縦走コースにはまだ幾つも雪渓が見られ、水の心配はなさそう。水の節約をしなくて良いのが大いに助かる。

下って来る人達に出会う。このコースはやはり下りに使う人達が多いように思う。しかし山は登ってこそその山の価値や良さがわかる。一歩一歩登る度に展望が開け、植生が変わり、一息入れる度に空気が変わってくる。下りには味わえない感激である。行きたい山は出来るだけ登りのコースに組み込んでいる。

 赤牛岳頂上には12:00近くにたどり着いた。予定の7時間を費やしていた。黒部ダムから2日間をかけて登りついた山には一入の感激があった。長い暑い道のりであった。天気が良すぎて発達した雲に丁度太陽がさえぎられ、気持ちの良い風が吹き寄せて来ていた。しばらく頂上でくつろいだひと時を過ごす。

 水晶岳へかけての縦走路には豊富に残雪が見られ今夜のテント場は心配なさそう。展望を楽しみながらのんびりと歩く。槍の穂先がしだいに大きくなって行く。

 高天原の下りへの分岐、その東側に絶好のテント場があった。雪渓の真ん前に、東沢谷を挟んで野口五郎岳から烏帽子岳の稜線が正面に見える展望の良いテント場である。夜、満天に星が見られた。少し冷え込んだが、都会での熱帯夜から開放され心地良い睡眠がとれた。

【7月29日】

(5:15)―水晶岳(6:15)―水晶小屋(7:00)―野口五郎岳(10:30)―烏帽子小屋(13:40)

 

水晶岳までは1時間ほどであった。百名山の一つ、続々と登山者が登って来ている。狭い岩場の山頂にはゆっくりと座る所がなく、早々に退散する。水晶小屋は小さな小屋で高台にあり展望が良かったが風が非常に強くここでもゆっくりと出来ない。

 野口五郎岳には多くの登山者の人影が見えていたが、登りついて見ると誰も居なかった。暑い太陽が照り付けていて日陰が無くゆっくりとは出来ないが、野口五郎の歌を一曲。ここの水場は涸れていた。雪渓が一つあり。

 烏帽子小屋にも水場はなかった。1g200円で小屋から買うことになる。烏帽子岳まで往復する。砂のガレ地には一面にコマクサが咲き乱れている。お花畑ではなく荒地にだけしか咲かない花、その存在がわかるように道にはロープが張られていた。何年もかけて咲く花、小さな可憐な花が白いガレキの中に一面に咲いているのは見事であった。

 

【7月30日】

(5:5:)―ブナ立取付口(9:00)―高瀬ダム(11:00)

 高瀬ダムへ下る。有名な葛温泉高瀬館に入る。朝は10時からでこの古い歴史のある温泉は本当の温泉と言う感じであった。湯は流しぱなしの大きな露天風呂、朝から贅沢な豪勢な静養であった。