() (おう) (ぜん) 939m

 

2003年11月23日

見上峠(6:30)−白兀山

8:50)−夕霧峠(9:40)−奥医王山(10:15)−菱池小原(12:00)−見上峠(13:00

金沢市内から車で1時間ほどの所にあり富山県との境をなしている。小学校の遠足にも使われる市民に親しまれている山で、泉鏡花や室生犀星の小説にも取り入れられている文学の山で薬草が多いそう。

 「医王の里キャンプ場」は冷たい雨の降る中、この時期には人気も無くガランとしていた。階段状に幾つも広場があり相当に広そう。丁度駐車場の横に東屋があり、車を横付けにしてテントを張る事にした。直ぐ側には池があり夜には相当に冷え込んだ。

雨はミゾレになっている。

 朝、天気は快晴になっていた。車を見上峠に回してここから始まっている登山コースから出発する。良く整備された歩き易い緩やかな登りの道で、たえず金沢の町を見下ろしながらの展望の良いコースである。車道がすぐ側を並行に走っている為、何度か車道を横切りながら、又キャンプ場の中を通りこしてなどしてユックリと高度を上げて行く。

 白兀山山頂では小枝に付いた霧氷が朝日を受けてキラキラと輝いていた。霧氷のトンネルを抜け登り切った所が山頂であり、開けた広場には長いハシゴの掛かった展望台があった。側に大きな祠があったが、ここには三角点は無かった。展望台からは金沢の町と日本海が大きく見下ろされた。

 大きく開けた夕霧峠にはドライブの車が4〜5台上がって来ている。道路にはウッスラと雪が付着し下りの運転は慎重に下っていた。大きな休憩所もありスキー場のリフトも上がって来ていて、積雪は相当に多いような気がした。

 医王山山頂にはここから綺麗に付けられている急な階段を登って行く。前を老夫婦がユックリとユッタリと登っていた。赤い実を付けた木がある。アルキナシだそう。ナナカマドの赤い実には白い雪の帽子をフカブカと冠り青い空に揺れている。山頂には同じくハシゴの付いている展望台があり、大きな一等三角点があった。

下りは小原尾根に向かう。しばらくは大きなブナの原生林が続いていたが、しだいにコナラ、ミズナラなどの林に変わる。道はビッシリの落葉に埋まり、気持ちの良い秋の風情が続いている。大きなユキツバキの群落が次々と現われシーズンにはさぞかし花の山になる事であろうと思われる。

登って来る登山者に幾人か出会う。しゃべる声で判るのであろう、

「大阪からですか。遠い所からようこそ」ひとしきりこの辺りの山の良さを語り

「又来てくださいね」と言って別れる。

間もなく車道が見えて来て里が近くなった。3人の親子連れが登って来た。子供2人の腰には大きな丸い竹の籠がぶら下がっている。中を覗くとキノコが一杯入っていた。クリタケだと言う。「ナメコのような感じで美味しいですよ」と嬉しそう。籠はお爺さんが作ったそうで、民芸品で売っているような立派な真新しい籠であった。

 そこから里までは直ぐであった。稲刈りを終えた田圃には秋の日差しがサンサンと照り、色付いている山の紅葉が鮮やかに輝いていた。日本ののどかな秋の田園風景が広がっていた。それぞれが思い思いに楽しみながら登れ、懐かしい里山の雰囲気のある、気持ちの良いすがすがしい山であった。カタクリも多いように見え、花の時期には又来て見たいようにと思う。

 菱池小原の村は5〜6戸ほどの村落で、大きな家屋が点々と離れて建てられている。無人の家も多いのであろうかヒッソリとしている。大きな柿の木、色付いているイチョウの木が鮮やかであつた。車道を1時間ほどで、車のある見上峠に帰って来た。

 

山 行 者  4人