リッフェルホルン(後方マッターホルン)         ポルックス。中央右側(登山は裏側から)


                                      ポルックスの岩場 ⇒                                   

マッターホルン顛末記

 

<日  程> 2017728()89()
<参加人数> 1
<行  程>
  728      関空発〜ヘルシンキ経由〜ジュネーブ着
  729      ジュネーブ発〜ツェルマット着 (Zermatt1620」⇔Zmutt1936」)
  730      Schwarzsee2583」⇔Hornlihutte3260」)
  731      Furi1867」→SchwarzseeTrockner2939」)
  81        Riffelhorn2927m) ガイドツアー(岩登り)
  82        Swiss Summit TrailRiffelalp2211」→Gornergrat3089」)
  83        Pollux4091m) ガイドツアー(岩登り+高所順応)
  84        OberrothornRothorn3103」→Oberrothorn3415」→Blauherd2571」)
  85        Edelweiss TrailZermatt1620」⇔Trift2337」)(マッターホルンの予定をキャンセル)
  86        Glacier TrailFuri1867」→Gornergrat3089」)
  87        ツェルマット発〜ジュネーブ着
  88        ジュネーブ発〜ヘルシンキ経由〜
  89        関空着
<概要>

 『マッターホルンへ登る』と決めて、早期退職(2年)し、2年と4カ月準備をそれなりに行い、いざツェルマットへ出発。フィンランド航空は、値段も安くて乗継もスムーズ、機材も新しくてお薦めです。ツェルマット到着後、アルパインセンター(以後AC)で以下の様に計画を立てました。
     8/01 ブライトホルン(ノーマル・ルート)
     8/04 マッターホルン
ところが、8/01 のブライトホルンは強風が予想されるため、キャンセルとなり、急遽、8/01 リッフェルホルンの岩登りとなりました。

 ○リッフェルホルン(2927m)の岩登り

ガイドとJ氏(スイス・チューリッヒ)と私で、リッフェルホルン(写真1)に登りました。リッフェルホルンの岩場へは登山鉄道のローテンボーデン駅から約10分で着きました。まず、45°程度のスラブ状の岩を、登って下らされました。ガイドから細かい登り方・下り方の指導を受け、20分程度繰り返し練習を行いました。リッフェルホルンでは、この後、スラブ状の岩は出て来なかったので、マッターホルンの登頂に欠かせない技術なのでしょう。登りは、横を向いて足をクロスさせながら少し斜め前方に登る。下りは、ステップを小さく、音を立てないようにそっと足を置き、リズミカルに下りる。さて、岩登り開始です。ガイドが2番のJ氏のビレイ・ループにカラビナを掛け、クローブ・ヒッチでメインロープを掛ける。ラストの私には8ノットでメインロープを掛ける。端末のダブルフィッシャーマンは無でした。それぞれ約5m間隔でどんどん急斜面を登って行きます。Waitが掛かったのは3回程度か?この時は、ガイドが15m程先に登り、確保の体制を取ってから、Comeの声が掛かる。二人同時に登ります。上に着くとまた3人で登りはじめます。少し驚きなのは、確保と言っても肩にロープを巻いただけで、自己ビレイも無です。落ちたらアウトの所を3人でどんどん登ります。あまり苦労もせずに、やがて頂上に着きました。頂上では、先に、別のガイドと日本人二人がいて、こちらは、メンヒ(4107m)に登って来て、明後日にマッターホルンの登頂を目指すそうでした。頂上で360°の展望を楽しんだ後、下り始めます。私、J氏、ガイドの順番で、5m間隔で同時に下ります。私が、後ろ向きに下りようとすると、「前を向いて」と声がかかります。こんな所は後ろ向きでしょと思うような所も、「前を向いて」と声がかかります。何で?と下山後に聞きました。答えは、「マッターホルンはスピードが大事。後ろ向きは次のステップを探しにくいし、とにかくスピードが遅い。」だそうです。下りは1回ラッペルしました。この時は、ボルトに8環をかけて、一人ずつ下ろしてくれました。私としては、順調に登って下ったつもりでしたが、私の動きがガイドから見ると不安だったのでしょう。ガイド曰く、「4000mは是非経験しろ。しかも、ポルックスがお薦め。」だそうです。

ツェルマットに戻り、急遽、ACで計画の変更、
   8/03 ポルックス(岩登りを含む)
   8/05 マッターホルン

○ポルックス(4092m)のガイド登山(岩登り+高所順応)

 ポルックス(写真2)の装備は、ヘルメット・ハーネス・アイゼン・アイスアックスでした。当初の計画のブライトホルンとマッターホルンではアイスアックスは必要なかったので、急遽、スポーツ店でアイスアックスを借りて、6:30ゴンドラ駅集合。ガイドとD氏(イングランド北部)と私の3人。マッターホルン・グレッシャー・パラダイスの駅(3883m)が、出発・到着点です。ガイド・D氏・私の順でザイルに結ばれ、約15m間隔で出発しました。氷河(と言っても雪と変わらない)を300m程度下り、200m程度登り返して、雪の付いてない岩場に到着。ここまでは、時々雪に足を取られる事はあっても無難に歩けました。ここから、間隔を5m程度に縮めて岩場の登攀開始です。リッフェルホルンの時と同じように3人同時に登ります。チョット難しそうなところも3人同時に登ります。D氏も岩を上手く登るのでリッフェルホルンに比べスピードはかなり速かった。確保されたのはチェーンが据え付けられた所だけ。2人同時に登ります。チェーンをどう利用しようかと考えている内にテンションがかかり始めます。しょうがないのでやみくもに登りました。難しいのは出だしだけで、途中からはしっかりしたステップやホールドが見つかります(写真3)。チェーンの場所を過ぎると、また3人同時に登って、合計150m程岩登りをして、マリア像のある場所に到着。ここでアイゼンを付け、アイスアックスを持って、150m程度固い雪の斜面を登りました。登りは全部で500mあるか?程度ではあるが、心底疲れました。高所での岩登りが効いたのか?固くなっていらん力が入っていたのか?最後の150mでは、「休憩」を2回叫んでしまいました。1回目は、足がツッタ時。2回目は、息が苦しくて。ガイドとD氏に励まされ、何とか頂上にたどり着きました(写真4、5)。帰りはピストンで同じルートを帰りました。1箇所(チェーンの場所)、ラッペルで2人同時にガイドが下ろしましたが、2人が交錯して、少し落ちて岩に体をぶつけました。大した事はないのですが、ホテルで着替えて思いのほか出血していました。1週間以上経った今も向う脛が、少し腫れていてズキズキします。足の傷とは関係なく、下りは下れても登りではどうしても息が上がってしまいました。帰りのマッターホルン・グレッシャー・パラダイスの駅へ向かうルートでも(写真6)、私がブレーキで1時間程度、標準の登山時間をオーバーしました。ガイド曰く、「止めろとは言わないが、マッターホルンは無理だと思う。」。帰りのロープウェイ・ゴンドラで色々考えました。

・ガイドの言う通り、マッターホルンの登頂は無理であろう
・登頂は無理でも、せっかくスイスまで来たのだからトライだけでもしてみるか?
・お金もかなりの金額なのに、途中まで行ってどんだけのメリットがある?

結局、今回はトライもしない事に決め、ゴンドラの駅からACへ直行し、予約をキャンセルしました。残念。

ポルックス頂上(ガイドと)   ポルックス頂上(D氏と)              氷河の戻り道                泊まったホテル

   エーデルワイスの道       ヘルンリ小屋からのマッターホルン          朝焼けのマッターホルン







































<所感>

高槻労山の多くの方から、ご支援・励ましを受けていたにもかかわらず、今回、マッターホルン登頂を断念する結果となった事は、残念でなりません。しかし、夢は実現したら終わりです。来年と言う訳にはいかないですが、「Dream comes true, someday」と心で叫びながら、トレーニングを続けます。

 ・4000mの高所での体力が必要である。
 ・楽に(疲れずに)岩を登る技術が必要である。
     U氏・M氏・N氏は見るからに楽そうに岩を登っている)
 ・目標体重70kgであったが、73kg程度でこれも少し未達成であった。
 ・雪を時々踏み抜くのは何故?雪道の歩き方がなっていない。

減量のため、少し走っているが、息が上がって長くは走れない。長く走れるようにトレーニングする?少なくともコースタイムの8割程度で楽に歩けるようにする?タバコとお酒は、止めないつもり。上記4つの問題点への対応を考えます。
 とはいえツェルマットは最高でした。シャワーが何日か午後にありましたが、天気も良かったし、ホテル(写真7)・ハイキング道(写真8)も良かったです。何より、モンテローザ・リスカム・ドーム・バイスホルン等の4500m超の山々は、いつまで見ていても飽きません。それに、マッターホルンの雄姿(写真9、10)。後半は半分恨めしく見ていましたが、やっぱり登って見たい山でした。 

<ガイド登山費用>

・ブライトホルン(4164m) ノーマル         190 CHF
・リッフェルホルン(2927m)                                       305 CHF
・ブライトホルン ハーフトラバース                           355 CHF
・ポルックス(4091m)                                     360 CHF
・マッターホルン(4478m)   1215 + 250?=1465 CHF

 1 CHF = 113.82円 おおよそ費用と難しさは比例するか?

 <全費用>

・飛行機(KIX/HEL/GVA往復)                        149,300 + 4,900(Seat Res.) = 154,200
・鉄道(ジュネーブ/ツェルマット往復)           94 + 94 = 188CHF        → 21,394
・ピークパス(8日)                               335CHF                          → 38,123
・ガイド登山    リッフェルホルン          305 CHF                         → 34,709
                            ポルックス                      360 + 10(IceAxe) = 370              → 42,106
・ホテル            GVA/Zermatt/GVA       116 + 990 + 90 = 1,196 → 136,105
・食事等                                                                                                 約2万円
・お土産                                                                                                 約4万円

                                                                                                    合計 49万円

食事は、ゴンドラ駅やハイキング道にあるレストランで飲物とケーキ(これらがべらぼうに高い)を3回程食べましたが、それ以外は、ホテルの朝食をメインに、日本から持って行った物、スーパーで仕入れた物で安く済ませました。あくまで、費用は私の場合である。