横山岳 北尾根                            ポンポン山雑感

2013年11月3日4日                     三鍋敏郎

地形図を眺めていると、安蔵山から東に伸びる穏やかな稜線や、横山岳から北に伸びる尾根も気になった。何とも広く穏やかな尾根が北に伸び、2km進んだ辺りで緩やかに左に折れて余呉菅並まで延々と続いている。ブナ林存在の予感が広がり、一度は歩いてみたいという思いが募りふくらんでいた。

 今回は月曜会の山行計画で安蔵山に登る予定であったが、18号台風以後、林道崩壊が随所に見られたので、念のために横山岳北尾根のプランを加えておいた。

今回の予定ルートを眺めると、安蔵山の東の稜線も、横山岳の北尾根コースも歩行時間が長くなりそうなので、前夜、京都を出発した。白谷の小屋で雨宿り宴会。激しい雨が一晩中降り続いていたが、朝には雨が上がり爽やかな空気が流れていた。

 案の定、菅並から北の国道は通行止めになっていた。山行地を横山岳に変更した。

菅並集落のはずれの白谷川沿いの林道を進むとすぐに水道施設があり道が途絶える。白谷川右岸の尾根に取りついて我武者羅に登ると林道に出る。林道から尾根への手がかりを探ったが無理なようなので、林道を北西に進むと山の端に踏み跡が尾根に向かっていた。それに取りついて上がるが、すぐに猛烈な藪である。密生した椿の木にサルトリイバラが絡まり身動きできないほどの抵抗にあう。30分ほど格闘して何とか上部に出ると藪が薄くなって歩きやすい尾根になった。支尾根との合流点に到着すると、最初に取りついた支尾根から続いていると思われる深く抉れた峠越道があった。最初の取りつきから無理をしてそのまま進んだほうが楽に登れたかもしれない。広い主尾根に乗ると左手から植林地が上がっている。林道をもう少し奥に回り込んで取りつくと楽に登れたかもしれない。

 広い稜線は多少の障害があるがコース取りを間違えなければ気持ちよく歩ける尾根である。林床はシカの食害も無くユズリハやコアジサイや自然林のそれぞれの樹木の幼木などが密生し、春には期待できそうな野草が随所に見られた。かすかな獣道を辿り歩いて行く。

 標高600m辺りから背の低い笹が林床を覆いはじめるが、相変わらず獣道が続くので正確に拾う。左手から太い尾根が合流する標高700m辺りからブナが見られる様になり、800m辺りからは本格的なブナ林となる。太いブナも尾根の北側に点在する。心躍る散策道とは、この稜線を歩いていただくと解ってもらえると思うが、先頭を行く川上さんも後に続く佐々木さんの顔もほころんで楽しそうである。ブナの黄葉がちょうど見ごろで、逆光気味な陽光に輝いて美しい。

 

南に向かう稜線が途中でくびれるが、再び穏やかに広がって行く。登りきった平らな台地で西尾根からの道と合流する。残雪期や降雪、降雨、濃霧時はこの西尾根との分岐点が広すぎて尾根の分岐が確認できないので注意がいる。

合流点からはいわゆる二重稜線。中央が陥没しているので、湿地となり獣達のヌタ場がたくさん出来る。ここでも様々なカエデやモミジが赤く色づいてブナの黄葉と相まって微妙な色合いで心を和ませる。

合流点から10分も歩くと見慣れた山頂に出る。山頂で昼食。登山口から、ここまでジャスト4時間の長丁場。前夜発で正解だった。 

昼食後、下山にかかる。尾根道を分岐まで引き返し、分岐から西尾根に向かう。西尾根のブナ林は、それほど長くは続かない。急斜面の連続である。小ピークの石灰岩の岩場を下って暫く歩くと右斜面をへつる歩きにくい山道になる。草地の急斜面を下って暫く歩くとケヤキの巨木がある台地に出る。台地からの道も注意がいる。巨木から右に出て窪地に出るがそこから左手上の稜線に上がらなければならない。ここで間違うと白谷川に下ってしまう。稜線に乗り暫く歩くと展望の開けた場所に出る。余呉の山並みが見える。単調な山道を暫く歩くと、373.0mの三角点(地形図では三角点になっているが、私は水準点だと思う)に出る。小広場になっているので休息に良い。この三角点を過ぎた辺りから、急坂の下りになる。転がるように下る。油断すると止らないので注意がいる。

ようやく林道に出るが、林道を右に向かい道なりにそのまま下っても良いが、林道を左に少し進んで山の端から、杉の植林の中を真っ直ぐ集落に向かって下っても時間的には変わらない。 

★地形図 美濃川上・近江川合・中河内・木之本

★メンバー 他2名
★コース登山口
7:40〜P6249:10〜P7309:35856.910:05〜西尾根合流点11:30〜山頂11:4012:05〜分岐12:14〜登山口14:20