300名山東北第2段

  2011.6.26(日)-6.30(木)          有志 7名

八幡平 1213.3m

  登頂日  6.26(日)    天候 曇り時時晴れ

 八幡平(13:20)—八幡平頂上(14:00)—八幡平(15:00)

 東北自動車道を松尾八幡平ICで降りて、「八幡平アスピーテライン」に入って行く。八幡平に向けて高度を上げて行くに連れ視界が開け広大な緑の平原が見渡せるようになる。淡い新緑と白く光る雪渓と、雲が広がっているが広々とした青い空、清々しい気持の良い風景が広がっている。行き交う車は少なかったが、八幡平駐車場には沢山の車が駐車していた。
 身支度をして出発する。本日は時間も遅いため、八幡沼の周遊だけの簡単コースである。山頂に向けてコンクリで固められた遊歩道や階段が整備され続いている。素足にサンダル履きの観光客が登っている。子供が走って行く。重登山靴姿では何とも部外者のような感じがする。
 マイズルソウ・シナノキンバイ・シラネアオイなどの花を愛でながら30分ほど歩くと山頂に到着する。櫓があり展望台になっているが、雲が厚くて遠くまでは見通せない。裾野は広々とした台地が広がっていて、周辺はアオモリトドマツの樹林帯になっている。
 大きな八幡沼の周りは木道になっていて、尾瀬沼のような湿地帯が続いている。沢山のワタスゲが白く風に揺れている。ヒナザクラを初めて見た。桜の仲間かと思っていたが、サクラソウの仲間である。東北では今の時期どこでも沢山見られる一般的な花のようである。米粒ほどの小さいものからツボミのものもあり一面に白く咲いている様は見事である。ミズバショウがやっと咲き始めている。いつもより季節が1ケ月くらい遅れているように思う。
 木道にはまだまだ大きな雪渓が残っている所が数ヶ所あった。素足では冷たかったろうにと思う。一周2時間ほどで、百名山を一つ終了する。

    イワナシ                 ハクサンチドリ                     ミズバショウ                       サンカヨウ

岩手山 2038.2m

 登頂日 6.27(月)      天候  雨

 馬返(5:00)-岩手山(9:10)-馬返(12:00)

 岩手県の明峰、富士の形をしている火山の山である。古くからの登拝路「馬返しコース」を取る。前夜は登山口にある山小屋に一泊した。
 夜半から降り出した霧雨状の雨は降り続いていて止んでいない。雨具を着けて出発する。歩き出してから直ぐに沢を横切ってからは一本調子の登りが続いている。道は広くて歩き易い。2合目を過ぎた辺りから新道が右に登っているが、我々は旧道を登って行く。深くえぐれた沢筋の急な登りになり足元が悪くなる。丸みのある滑り易い大石が続いている。
 5合目を過ぎると火山帯独特の瓦礫と大岩の間の登りになる。歩き易い所を選んで急坂を這い登って行く。霧雨状の雨はまだ続いているが、視界も展望も良く広く裾野が見渡せる。
 八合目避難小屋は大きな建物、小屋前の水場にはほとばしるほどの水が勢い良く桶に流れこんでいた。小屋の背後が噴火口のある山頂でお椀を伏せたような火山砂礫の山がある。風が強くて、冷たく吹き付けて来るようになる。
 不動平休憩所の前からお鉢への登りになる。砂礫の道を登り切ると広々とした火口内部が望まれる。観音石仏がお鉢巡りを導いてくれる。時計回りに最高峰の薬師岳を目指す。風はあるがたいして寒さは感じ無い。山頂には1等三角点と祠と地蔵様が祀られていた。
 下りも同じ道を下って行く。5合目の瓦礫の悪場をツアー客17名がユックリと登って来ていた。雨足が強くなって来た。風も出て来ている。この時間ではたして山頂まで行きつけるかどうか心配である。登山口に降り立った時には本降りの雨になっていた。
 
      ヤマオダマキ                         ?                       シラネアオイ                    岩手山・薬師岳山頂にて

早池峰山 1917m

 登頂日 2011.6.28(火)   天候  雨上がり

 小田越(6:15)-6合目(8:15)-小田越(9:15)

 前日は早池峰ダムのバス停に一泊した。電気・トイレのある広々とした真に立派な待合室であり、この大雨の中、有効に利用させて貰った。
 朝、雲は厚いものの、雨は止んでいた。河原坊登山口から登る予定であったが、直ぐの渡渉地点は濁流が渦巻いていて渡る事が出来ない。急遽「小田越」からのコースに変更する。高山植物監視小屋があり、数名の監視員が常駐している場所である。登山者は単独者と夫婦の方のみの静かなものである。
 木道がしばらく続く。マイズルソウの花がどこまでも続いている。紫色のオダマキが可憐に咲いている。優しい樹林帯を抜けると滑り易い大石のある登りになる。茶色の蛇紋岩の岩礫帯で真に歩き難い。風が強くなってくる。山は黒々とした重苦しいガスが覆いかぶさっていて雲の流れが速い。
 5合目、お目当てのハヤチネウスユキソウを見つける。日本には10種以上あるウスユキソウの内、最もエーデルワイスに近い形をしている。形の良い星形の花を咲かせていた。大柄な花が岩陰で強い風に揺れている。
 6合目、風が最も強い風衝地帯である。体が浮き上がり、四つ這いになっても前に進めないほどの風である。頂上まであと1時間ほど、しかしその総てが吹きさらしの稜線であり、ハシゴのある岩陵帯である。体力的に無理が効かない年齢でもあり、撤退を決定する。止むを得ないと思う。
 同じ道を下って行く。樹林帯に入ればウソのように穏やかなものである。幾パーティかが登って来ている。時間を少し待てば風も緩くなる事であろうと思うが、仕方が無い。
 早い帰着の為、世界遺産中尊寺の観光に向かう。中尊寺駅前で名物のワンコソバを食す。24杯がセットになっていて、もうそれだけで満腹になる。たしか世界遺産に認定されてから2日目のはずで、長い参道には沢山の観光客で混雑していた。国宝金色堂の仏像、藤原四衝公の居られる須弥壇、京からこんなにも遠い地が昔に栄えた栄華の地に思いを馳せる。
 
       ミヤマオダマキ                    ミヤマアズマギク                 ハヤチネウスユキソウ                 ミヤマシオガマ

五葉山 1351m   

 登頂日  2011.6.29(水)    天候  
曇り

 赤坂峠(4:45)-五葉山(7:10)-赤坂峠(8:45)

 前日は登山口となっている「赤坂峠登山口」にテントを張った。シカの多い山である。広い駐車場には1頭のメスシカがウロウロとしている。絶えず「ケ‐ン、ケーン、」と鳴き声が聞こえる。鳥獣保護監視員が山から降りて来ている。夜中には数頭のシカがテントの周りをうろついてゴソゴソしている。
 天気は良いが、山頂付近はガスっている。気持の良い道が緩やかに登っている。しばらくして大船渡の海岸線が霞んで見られる場所がある。賽ノ河原は開けた瓦礫の広場であるが、それを過ぎると松葉のウイウイしい唐松林となっている。やがて大きな岩のある畳石の広場に着く。樹林に囲まれた平坦地で休憩に良いここから急な登りとなる。山頂はもう目の前で、比較的近い位置にある。ミズナラ・ダケカンバ・ヒノキアスナロと樹木の種類は少ないので、整然と立ち並んでいる様は美しい樹林帯となっている。モヤに霞んだ樹林の中の所々で、真っ赤なヤマツツジの群落が彩りを添えている。ブナは全く見当たらなかった。
 石楠花山荘は大きな建物であった。良く手入れがされていて、床はピカピカに磨きあげられている綺麗な小屋である。水は上部から引き込んでいる。
 小屋からはササ原の平坦地が続き、道脇には苔が蒸し庭石も点在し、さながら日本庭園を思わせるような光景になっている。その平坦地の先が五葉山の山頂であった。ガスが沸き立ち展望は無かった。山全体が緑の中に収まっている日本庭園のような美しい綺麗な山であった。
 下山も同じ道を下る。駐車場には数台の営林署の車が入っていて、裾野の草刈りをしていた。放牧場を思わせるような広い平原は網に囲まれている。その中で数頭のシカが跳ね回っていた。
 この山の麓が大船渡の港である。深く入り組んでいる港では、海から数10mの所だけが被害に合って瓦礫となっている。そこから僅か数mの違いでは、立派な家屋はそのままで普通の生活が営なわれている。僅かの差が地獄を免れている。その隣の村が陸前高田の港である。町全体が低いのであろう、総てが流され満足な建物は一軒も無い。低地は未だ水に埋まっている。沼地では今も捜索が行われている。広場には数百台の乗用車がまだ手付かずのまま放置されている。息を呑む悲惨な光景に、復興にはまだまだ時間がかかるように思えた。

       鳥居の中を登る                   美しい樹林帯                  真っ赤なヤマツツジ                    五葉山山頂


栗駒山 1627.4m       

 登頂日 2011.6.30(木)  天候  曇り


 須川(7:45)-栗駒山(9:45)-須川(11:45)

 前夜は須川温泉「須川高原温泉」に宿泊した。自炊も出来る大きな宿泊施設であるが、我々以外は10名程度で閑散としていた。露天風呂は離れた所にあり、プールほどの大きさに近くの源泉が大量に流れ込み、泉質も良くて気持の良い温泉である。しかしここも客は2~3人程度で閑散としていた。
 登山口は源泉の横を、強烈な臭いを嗅ぎながら遊歩道を登って行く。ウラジロヨウラクが赤い花を咲かせている。すぐに木道のある「名残ケ原」の湿地帯に出る。ワタスゲが一面白い穂を靡かせて揺れている。イワイチョウ・ヒナザクラ・ツマトリソウ・サンカヨウと白い花が多い。多くの花が一斉に咲いているので見事な景観である。赤いハクサンチドリが所々見られる。
 雲が広がっているが天気は良い。頂上はガスって見えない。遠くに鳥海山が見えるそうであるが雲に隠れている。噴火口の跡「昭和湖」から登りになっている。
 天狗平の稜線に上がり込んでから尾根道をしばらくたどると大きな標識のある栗駒山山頂に達する。ガスが垂れ込んでいて遠方の山々は望めない。登って来たコース、緑の平原が足元に広がっているのが眺められる。
 下山は「産沼」に向かう。沼は全面厚い雪に覆われていた。天気は良くなり。ずんぐりとした山頂が望まれるようになる。沢沿いにオノエランの花を見つけた。
 名残ケ原の湿地帯では往きには気付かなかったが、沢山のタテヤマリンドウが小さな可愛い花を一杯に咲かせていた。陽が当たり始めたからなのであろう、可憐な花が一面広い範囲に一斉に開いている様は見事である。

          ワタスゲ                        ヒナザクラ                      オノエラン                    栗駒山山頂にて
 東北の「花の百名山」巡りの山旅、色々な花に出会えて楽しい旅であった。この時期は常に天候との戦い、スッキリとした青空の日は一日も無かったが、それに代わる代償は充分に得られたように思う。