300名山東北第1段

  2011.5.30(月)-6.3(金)     有志 6名

太平山(たいへいざん) 1170.4m

  登頂日 2011.5.30(月)  天候  雨 

  旭又キャンプ場(6:00)− 太平山(8:45)−旭又キャンプ場11:00

前日は旭又キャンプ場の東屋の下にテントを張った。台風の影響で天気は悪い。まだ雨は降って来ては無いが霧深く、空には重苦しく黒雲が厚く覆っている。まもなく雨になるであろう。雨具を着けて出発する。旭川に架かる橋を渡り旭又沢を上流に向かう。サラサラと清らかな流れ、新緑が綺麗。昔の森林軌道の跡で幅広い道が沢伝いに緩やかに登っている。この辺り秋田杉の本場で周りは大きな天然杉の森になっている。鳥居のある御滝神社で一休み。小粒の雨が降り出した。
 ここから山道になり登山道が登っている。いきなりチゴユリの群落が始まっている。斜面一面から道端に、雨の中可憐に小さな花をうつむきかげんに咲かせている。その数の膨大な事、今が盛りと総てが咲いている。続けてキクサキイチゲの群落は満開。カタバミの群落、こちらはまだツボミの状態。キスミレの群落。シラネアオイが紫色で大きく咲いている。どの花も今が盛りと一斉に咲いている花の山である。途切れなく咲き続いている。小広い平坦地に着く。真っ赤な衣装を着けた2対のお地蔵様が薄暗い森の中から出迎えてくれる。コンコンと湧き出る清水がある。その水の先、沼地にはかわいらしいミズバショウが多数咲いている。江戸時代の民俗学者で秋田の森の調査に生涯を費やした菅江真澄の碑があった。シラネアオイはあちこちに点在している。白い雪を散らしたようにユキササとマイズルソウのかわいい花が続き、やがてカタクリの群落に出合う。雨の為咲き切ってはいないが、赤い大きな花をぶら下げている。関西の花よりも一回り大きいように思える。
 稜線に出て来ると烈風が吹いている。冷たい北風である。笹の道にはショウジョウバカマが赤い花を咲かせている。金属製のキラキラと光る大きな鳥居があり、それを潜るとやがて頂上に到着する。頂上には大きな宿泊所と三吉神社の奥宮が占めていて、三角点はその建物の裏の方にあった。天気悪くて展望は無く、冷たい風が強い。宿泊所の中で休憩をとる。中にはシートが敷かれていて、出来たばかりの未だ開業していない真新しいもののようであった。電気もある立派なものである。
 天気が悪いため、下山は同じ所を下って行く。登山口から頂上まで、すべての道が花のオンパレード、飽く事の無い楽しめる花の山であった。


       休憩中                               キクサキイチゲ                          もうすぐ山頂                         山頂にて

森吉山 1454.2m

   登頂日 2011.5.31(火)   天候  雨上がり後の快晴 

  ヒバクラ登山口(5:20)− 森吉山(9:30)−登山口(12:15

花の綺麗な山と聞いていたが、雪の深い山であった。前日はヒバクラ岳登山口近くにある「親子ふれあいオートキャンプ場」に泊まった。6月1日からオープンのようであったが、丁度点検に来られていた管理人に頼んで軒下を借りる事が出来た。8゜Cと風が強くて寒い。トイレのある建物を借りれたのは有り難いが、そこには一人の老人が住み着いていた。森吉山には白神山地よりも大きなブナの原生林があり、そこにクマゲラが生息している。その調査の為毎年やって来て数ヶ月居ると言う。ぜひそのブナ林を見るようにと言われたが、今回の登山コースとは少し外れている。近々本を出版するらしい。
 ヒバクラ岳登山口の駐車場に車を置いてから出発する。しばらくは平坦な道、沢沿いに沿ったジグジグとぬかるんだ沼地のような道を進んで行く。ミズバショウがいたる所に咲いている。マイズルソウの群落が一杯咲いている。周りは総てブナの林、新緑が朝日に照らされて美しい。天気予報では曇りであったが、雲一つ無い快晴になっている。
 30分ほどで少し開けた展望台に出る。ここからは広々とした尾根の登りとなり、豊富な残雪に覆われている。アイゼンを置いて来た事が悔やまれる。持参した人達はアイゼンを装着する。ブナ林の中の広々とした尾根道、歩き易い所を選んで高見に登って行く。大きなブナの根元は雪が無くなり、広く地表が現れている。その深さは1mもあろう。その底には青々とした葉が一面に広がり淡いピンク色をした可憐な花が見られる。春を待ちわびているイワナシの花である。
 今年は雪が多いのであろう見上げるヒバクラ岳にはまだ大きな雪庇が見られる。見渡せる山頂へ至る稜線にはビッシリと雪が着き大きな雪稜になっている。雪道の間から所々に木の階段が現れそこが夏道である事がわかる。
 ヒバクラ岳には登らず、北側に大きく巻いてからトラバースして行き平坦地に出る。小池ヶ原からの登山コースの分岐点であり道標がある。ズングリとした森吉山が初めて正面に望まれる場所、上部は豊富な積雪に埋まっている。夏道はここで90度方向が変わっているが、ダダッ広い雪原のためルートが良く分からない。見晴らしが良いので一先ず山頂を目指し、樹林の間を目印のテープを着けながら一旦下ってから登りにかかる。天気が良くて見通しが良いので助かる。
 「山人平」には夏道が出ていた。木道が着いていて、ここがチングルマ・ヒナサクラなどのお花畑が広がる花の名所である。今は全く無毛の地であった。残念。
 頂上直下の雪渓はキックステップを刻みながら登って行く。頂上真近かの所でササの藪に阻まれ進めない。そのササの上が頂上である事は分かるが出口がわからない。皆で手分して探す。幾分左に周り込んだ所に木の階段を見つけやっと出口が見つかった。大岩の中を潜り抜けてやっと森吉山山頂に到着した。山の反対側は雪が少ない。風が冷たい。予定時間より1時間程オーバーしたが、何とか到着出来て感激である。天気が良くて展望は良い。
 帰りは登りと同じ道をスリップに注意をしながら下って行き、安全な樹林の中で一休みホッとする。日差しが強くて登りに着けたトレースは完全に無くなっていた。目印のテープを拾いながら、ユックリと楽しみながら下って行く。一人の若い女性が登って来ていた。ピッケルもアイゼンも無くて大変だろうなと思う。
 花の百名山で多くの花を予想して来たが、残雪期の山になってしまった。ブナの美しい山であった。キャンプ場周辺の草原には幾台もの車が入って来ていて、カゴを腰に着けた多くの女性の人達が見られる。イタドリ・竹の子・フキなどの山菜取りなのであろう。

      自然林の中を登る              残雪の上を行く                 山頂に到着                     キクサキイチゲ  

白神岳 1231.9m 

 
登頂日 2011.6.1(水)    天候   快晴
 
 白神岳登山口(5:15)− 白神岳(9:15)− 登山口(12:40 

 世界遺産ブナ林の山は今回山行の目標である。前日は「道の駅ハチモリ」にテント泊まりとした。白神山地を源泉としている名水が湧いていて水汲みの車が寄って来ている。気持の良い芝生があり車も少なくて感じの良い場所であった。
 白神岳登山口には立派な山小屋があり、4人グループがここに泊まってから出発する所であった。車を駐車場に置いてから出発する。暫くは舗装された車道を登り、登山道に入って行く。ここも森林軌道があったようで幅広い道が緩やかに続いている。ブナ・ヒバ・ミズナラなどの大木が天を突くがごとき林立している。皆新緑の青葉を出して若々しく輝いている。今日も天気は良い、快晴である。
 水平道が暫く続き、やがて二股コース分岐に到着する。標識がありここから蟶山(まてやま)に向かって急登が始まる。ブナ林の中をジグザグにユックリと登って行く。蟶山はコースを少し外れているため帰りに寄る事にする。幾分傾斜も緩やかとなり、気持の良い尾根道が登っている。シラネアオイ・ツバメオモト・カタバミの花が見られる。
 展望が開けて来る。広々とした日本海と海岸線が目の下に広がっている。どこまでも続く広い穏やかな海。向かいは緑一面の白神山地の山襞。白く雪渓が深く食い込んでいる。稜線に出ると反対側が眺められる。ウネウネと波打っている白神山地の山波が広がっている。総てがブナの林の中なのであろう。その山地には入れないのが残念である。今まで登って来たコースでは目立った大木は見当たらなかった。この程度のブナ林であれば近畿でも見られる。巨大な巨木が林立する本物の白神山地に行って見たいと思った。
 稜線からは平坦地を暫く直進して行くと立派な避難小屋があり、その先に山頂があった。先行の4人グループが休んでいた。「沢山お花があったでしょう」と言われた。この程度で沢山のお花かと思うと、何とも花の少ない山のように思われた。
 風も無く天気良く、山頂でユックリと出来たのは今回初めてである。立派な1等三角点がある。岩木山が鋭く形良く眺められる。八甲田山は見えない。眺めを楽しみながらユックリとする。
 帰りは同じ道を下る。蟶山は三角点があり、ブナ林に囲まれた静かな狭い場所であった。4人連れは東京の人達、八甲田山は雪が多くて登れなかったそうで、本日帰ると言う。舮作(へなし)の「黄金崎不老不死温泉」で一浴する。鉄分の多い濁った湯、海中にある露天風呂は眺めが良い。登山の後の温泉は気持が良くて快適である。すがすがしい海風が吹き抜けている。

         原生ブナ林                  シラネアオイ                 オオバキスミレ                     山頂だろう

姫神山  1123.8m

  登頂日 2011.6.2(木)  天候  曇り雨模様

 姫神山登山口(8:55)− 姫神山(10:40−登山口11:50 

 女神の住む山と云われている。対する男神は岩手山が高速道路を挟んで対峙している。三角錐の優美な山容をしているが、今日は曇り空で全く姿は見せない。中腹まで車が入れるため、容易に登れる山である。一本杉登山口の駐車場に車を置いてから出発する。なだらかな草つきの斜面はキャンプ場になっていて、スズランの群落があった。一塊になっている為植えられたものであろう。登山道に入ると、白い花を散らしてマイズルソウとヒトリシズカの群落が続いている。白色のイカリソウが、あちこちに見られる。薄暗い森の中では質素ではあるが、明るく輝いて見える。一本杉の清水は豊富な水量が流れている。数本の杉の大木があった。
 ザンゲ坂は急坂に丹念にコンクリの階段が付けられている。5合目・6合目・7合目の標識があり、ぬかるんだ登りが続いている。樹林帯を抜けると岩石の多くなる露岩帯に出る。巨岩が乱雑に積み重なっている。眺めが良さそうであるが、ガスに埋まっていて展望は全く無い。風が吹き抜けている。巨岩の間に小さな祠や神社の鳥居などが見られその先が頂上であった。何故か1等三角点は大きな金属の円盤になっている。岩石に囲まれた狭い山頂であった。風が強くて冷たくてすぐに下る。
 下山は1時間ほどで登山口に到着した。途中一人と二人連れの登山者に出会った。

          何んという花                                    山頂にて                                   スズランの群生地

乳頭山 1477.5m

  登頂日 2011.6.3(金)  天候 雨

蟹場温泉7:45−乳頭山10:20−蟹場温泉12:20  

秋田県側では乳頭山と呼ばれ、岩手県側では烏帽子岳と呼ばれている。それぞれの側から見るとそのように見えるのであろう。女性の乳房に見える。我々は秋田県側の乳頭温泉から登る事にした。
 前夜は乳頭温泉郷の7軒の温泉の内、営業している最奥の温泉「蟹場」に宿を取った。秋田杉の浴槽、板敷きの洗い場、太く重い桶・鄙びた本物の温泉である。50mも離れている沢傍の混浴露天風呂では、折りからの冷たい雨に、傘を差して入った。湯垢の浮く透明な湯である。
 夜半の雨は止んでいたが、濃い霧に囲まれていた。宿に車を置いてから出発する。朝食を宿で取ったため遅い出発となった。30分ほど車道を遡り、「孫六」温泉に向かう。ここはまだ休業していたが、露天風呂が幾つもある鄙びた温泉である。橋を渡った所が「黒湯」温泉、ここの建物は大きい。ここまでは車が入れる事ができる。
 沢伝いに登山道を登って行く。堰堤近く、突然ガサガサとササヤブが動いた。スワッー 熊かと身構えたがお婆さんが一人出て来た。太い大きな美味しそうなネマガリダケを採集していた。昨日の夕食にも出たもの。そうだここは熊の居る山だとあわててスズを着ける。少し登るとラジオの音高くしてここでも採集していた。
 1時間ほど沢沿いに登り対岸に渡った所が、「一本松温泉たつこの湯」跡である。建物などは全くないが、湯垢に埋まった小さな池が幾つもあり、どれも程良い湯加減になっている。路傍にある露天風呂である。
 川筋を離れ、樹林帯の登りになる。急斜面は雨水の通り道なのであろう、深くえぐれている。シラネアオイ・キクサキイチゲが所々見られる。
 草つきの稜線に上がり込んだ所は風が強い。視界は全くない。田代岱山荘からの道と出合い山頂に向かう。大きな石ころが多く、道は狭くなり急坂となる。乳頭に向かっている感じがする。頂上は烈風になっていた。三角点は地震により崩落していて無かった。南側は大崩壊していて危険な場所。写真を写してからすぐ下る。
 帰りは同じ道を下って行った。下ってから「蟹場」の温泉に一浴して、今回の山行が総て完了した。空は綺麗に晴れ上がっている。車の中から、尖頭状の優美な山容を持つ乳頭山を眺める。街中から見ると堂々として大きく感じられる山であった。

         ひと休み                    ガスの中を行く                 山頂に到着                  道端の露天風呂