300名山紀行  南北海道編

  2001.8.4(木)-8.7(日)  有志  6名

大千軒 1072m 

 
登頂日 2011.8.4(木) 天候 晴れ 

 奥二股(6:15)—大千軒岳(10:15)-奥二股(13:20)

 北海道南端の渡島(おしま)半島の先にある山。知内(しりうち)川に沿って登る往復のコースとする。この川で昔、金が発見され賑わった時代があった。山の名前の由来にもなっている。流刑されたキリシタンが働かされ、1639年に106名の信徒がここで斬首されている。十字架が立てられ毎年追悼ミサが行われているそうである。
 国道から6キロほど林道を入った所奥二股沢出合から登山は始まっている。ブナ・ミズナラ・サワグルミ等の大木に囲まれた雰囲気の良い場所。直ぐに短いが木造の立派な橋を渡ってから、知内川右岸につけられた道をへつって行く。サラサラと気持の良い流れを見ながら涼しげに登って行く。北海道の山らしく谷を詰めてから登る原始に近い山である。渓谷が迫り、大きく高巻いてから広川原に出て来る。広々としている河原で飛び石伝いに対岸に渡る。今度は左岸沿いに登って行くと、樹林に囲まれた草つきの開けた広場に飛び出してくる。ここが金山番所跡であり、大石の上に金属製の白く光る大きな十字架が立てられていた。ここで毎年ミサが行われるそうである。400年も前の惨劇を思い、しばし言葉を失い皆しばらく佇む。登山口から2時間程の所、処刑の場所は不明だそうである。
 ここから沢を離れて尾根に取り付き急登が始まる。ササが綺麗に幅広く刈り込まれていて歩き易い。良く踏み込まれた道ではあるが、何しろ急傾斜で一直線に登っていて、汗がしたたり落ちる。曇空ながら湿度は高い。美味しそうなサンカヨウの実が黒々と実っている。甘くも酸っぱくも無いが何となく美味しい。傾斜がきつくなり、クマササが太くなり足元が滑り易くなり、さらに太陽が照り出して来ると難行もピークになる。やっと尾根に出て来て、緩やかなササ原の平原に出合うとホッとする。ヨツバシオガマなど花が咲き乱れるお花畑であり、「千軒平」の標識がある。多くの人が住んでいたのであろうか、ここで処刑されたのであろうか、昔の様子に思いを馳せる。
 休憩後、ほんの数歩高見に登ると、その目の前に広がる光景に思わず感嘆の声が上がる。オレンジ色のニッコウキスゲが広々としたなだらかな平原の総てを占め一面に広がっている。イブキトラノオ・キンバイ・シャジン・ナデシコ等、真さに百花繚乱の世界である。どっしりと大千軒岳の山頂に雲が棚引き、一幅の名画を見るような景色である。そのお花畑の中をユックリと1時間ほども掛けて山頂に向かう。ここの見晴らしの良い場所にも大きな十字架が立てられていた。山頂からは岩木山や八甲田山などが見えるそうであるが、雲が広がり頭の部分しか見えず、又あまりにも山々が多い為確定する事は出来なかった。360度の景観、北海道の山又山が広がっていた。
 下りは往路を辿る。下山後、「千軒そば」で十割ソバを食す。地元の人達が交代で運営している店、十割とは思えない粘りのある非常に美味しいソバであった。その近くにある知内温泉で汗を流す。鄙びた一軒宿の温泉、鉄分と塩分の別々の湯があり雰囲気の良い温泉であった。

      白く光る大きな十字架               シャジンとニッコウキスゲ           タチキボウシ?             大千軒岳
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渡島(おしま)駒ケ岳 1131m  

 登頂日登頂日 2011.8.5(金) 天候  晴れ

 銚子口3合目(5:45)—駒ケ岳馬ノ背(7:30)—銚子口3合目(8:30)


 平成8年に噴火をして登山が禁止されている山である。本年度から規制が緩み、6月1日から10月中旬降雪まで、時間も午前9時から午後3時までが登山できる期間である。麓に広大な藤田観光の私有地があり、事前の計画書の提出が義務つけられている。我々はそのような事は全く知らずに登山に挑んだ。
 朝早い5時過ぎ、別荘地の門扉は半開きになっていて車は入れた。縦横に走っている別荘地の道を迷いながらも、何とか銚子口3合目登山口に到着する。監視員小屋があったが閉まっていた。道傍に車を置いてから出発する。
 山頂に向けての一本筋の道、一度も曲がる事も無く緩む事も無い登りの道が続いている。しばらくはカラマツ林の中で、車が通れるほどの広い道が登っている。白い実のあるシラタマノキがある程度、火山特有の荒れた山地である。

 森林限界を超えると砂埃の舞う瓦礫の道となり、丸石に足を取られるようになる。富士山の登り道を思い出す。この山の麓には大きな沼があり、湖畔には大沼公園や大きなキャンプ場もあり大リゾート地になっている。それを見下ろせる場所に入って来ていたが、濃い霧がその沼地の部分だけに舞い込み漂っていて全く望めなかった。七合目から赤井川コースと合流し、トラックでも通れるほどの広い道が急傾斜に登っている。溶岩ドームが幾筋も鋭く突っ立っているのが見上げられる。歩き難い瓦礫の道をさらに這い登ると噴火口のある「馬の背」に到着する。
 山頂のある剣ガ峰は溶岩ドームの上正面に見えるが、ここから先はロープに囲まれていて進む事が出来ない。僅かに煙が立ち昇っているのが見える。どうやら登山の範囲はここまでのようである。山頂の標識は無いが写真を写してから下山にかかる。付近の瓦礫の中にイワキキョウが数株見られた。
 下山も同じ所を下る。監視員小屋には9時の開始に向け、監視員が入って来ていた。登山時間前に降りて来た事に厳しく注意を受けた。我々は逃げるように草々に退散した。後味の悪い山であった。
 温泉は次ぎの山、狩場山近くの千走川(ちはせがわ)温泉に入る。鄙びた一軒宿の温泉であったが、露天風呂はアブが多くて入れなかった。


      駒ケ岳に向かう                     駒ケ岳の溶岩ドーム                     イワギキョウ
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狩場山 1520.2m      

  登頂日 2011.8.6(土)  天候  晴れ

  千走口(5:25)-狩場山(8:05)-千走口(9:50)


 712日と25日にクマの目撃情報があり登山を自粛するようにとのお知らせがある。道の駅で鈴を求めたら品切れだそう、クマの多い山である。そろそろ現れる頃か、お互い気を付けようと注意する。前日泊まった「賀老高原キャンプ場」は広々として気持が良かった。高台にあり芝生が広がり、涼しくて早目に到着出来たのでゆっくりと過ごす事が出来た。無料である。明治時代に入植者が入り、原生林をかなり伐採して開かれた所だそう。東京からの親子連れなどキャンパーが多い。
 旧登山コースは廃道になっているのか地図にも無く標識も無いため、新道千走(ちはせ)コースからの往復とする。登山口には駐車場があり、橋の手前から登山道は始まっている。
 沢音を聞きながらしばらく緩やかな登りが続いている。大きなダケカンバが複雑に折れ曲がって立っている。名に知られた豪雪地帯で夏遅くまで雪渓があると言う。枝は低く垂れ下がりシバシバ頭を打たれる。少し開けた展望の効く所に出て来ると、斜面に小さな雪渓が見られた。
 南狩場山が見上げられる位置に上がり込むとお花畑が広がっている。ヨツバシオガマが多い。大きな葉のフギレオオバキスミレが見られる。登山道の坂道には真新しいクマの爪跡らしきものが見られた。7合目付近でクマが道に立ちはだかったと言うのはこの辺りなのであろうか。
 ダケカンバの中の急坂を登り切った所が標識のある「南狩場」であった。ここからは少し下がってからなだらかな稜線歩きである。広い草原状のお花畑が広がっている。親沼・子沼と標識のある小さな池を見て少し登った所が狩場山の山頂であった。山頂はなだらかな少し開けた所で赤い鳥居と1等三角点があった。展望は良い。静かな山頂である。 下山は往路を下る。暑い太陽が照り出して来ている。お花畑付近、汗まみれで二人の登山者が登って来ていた。樹林の広がる感じの良い山であった。

           何の花かな?                    エゾフウロ                    山頂に向かう
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ニセコアンヌプリ 1308.0m  

  
登頂日 2011.8.6(土)  天候 晴れ 

   五色温泉(14:00)-ニセコアンヌプリ(15:20)-五色温泉(15:15)

 登山口のある五色温泉登山口に着いたのは暑い盛りの午後2時であった。ニセコ野営場では幾つものテントが張られていた。温泉が幾つもあり、沢山の車が入って来ていて賑やかな所である。ここは幾つものヌプリと呼ばれるニセコ連山が立ち並びスキー場として賑わう所、その内の最高峰の山である。火山の山らしくずんぐりとしていて、山頂はすぐ見上げられる位置にある。往復3Hのコースで軽装で気軽に登られている。
 暑い中を出発する。日差しが強く汗が吹き出て滴たたり落ちる。幾人もの登山者達が降りて来ていた。岩礫の良く踏まれた広い歩き易い道、低い樹木の中の木陰を拾いながら登って行く。どの場所からも展望は良い。広々とした大地が広がっている。緩やかなジグザグ道をひたすら登る。
 1時間と少しで山頂に到着する。広々とした所、1等三角点と避難小屋があった。東側に羊蹄山の巨峰が見えるはずであったが、沸き立つ雲で全く現れなかった。数名の登山者がいた。
 往路を下り、汗まみれの体ですぐさま五色温泉に飛び込む。湯船からは今登って来たばかりの山頂が良く眺められる。のんびりと体を伸ばす。野営場は高台の見晴らしの良い場所にあり、涼しい風が吹き抜けていて快適な所である。夕方にはテントがビッシリと張られ、夜遅くまで賑やかで騒々しかった。本日は2座の完了である。
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余市岳 1488.0m     

  
登頂日  2011.8.7(日)  天候  晴れ  

 キロロホテル(7:05)-余市岳(10:35)-キロロホテル(13:15)


 今回の山行ではオマケの山である。有名なキロロスキー場の奥に聳える山。スキー場の中を歩くつまらない山かと思っていたが、感じの良い山であった。ホテルの右横から登山は始まる。クマに注意の看板があり、しっかりとスズを腰に着ける。ゲートがあり広い林道を1時間ほど登って行くとリフトがあり、そこに余市岳登山口の大きな看板があった。一人先行して行く。
 沢筋の道をたどる。樹林に囲まれた細々とした道、山らしい雰囲気があり楽しめそう。まもなく対岸に渡ると道もしっかりとしてくる。大きなダケカンバが見えて来ると急坂の登りになる。しばらくは急登が続く。右手谷を挟んだ樹林の奥に大きく余市岳の山容が望まれるようになる。
 登山道の坂道の真ん中に黒々としたクマの糞が盛られている。少し登ると今度は真新しい。柔らかなものが多量にうず高い。又その先には点々と落ちている。クマの住処があるよう。見晴らしの良い登山道の中である。後で知った事であるが、昨日の10時頃、山頂付近の雪渓上で親子クマ3頭が目撃されたと北海道新聞に写真入りで報道されていた。この時点では未だ知らなかった。 急坂を登り切ると左手の尾根上に大きなスキー場ゴンドラ駅が見えて来る。このゴンドラを利用しても登れる山であり、冬の山スキーが楽しめる所。ハイマツ帯に入ると見晴らし台に出て来る。正面に山頂への道が急登しているのが眺められる。一人登っていた。
 一旦下ってから、ハイマツ帯の登りにかかる。日差しがきつくなり、汗が吹き出る。やっと登り切った所には広場があり登山者が2人いたのでここが山頂かと思ったら、もう少し先だと教えられる。この辺り30年以上前に山火事があり、その時の遭難碑と観音様が祀られていた。
 白骨化したハイマツの続くなだらかな中名稜線を少し辿ると山頂であった。山頂は開けた平坦地にあり展望は良い。
 下りは往路をたどる。登山者が続々と登って来ている。本日は日曜日、都会に近い山なのであろう次々と出合う。一様にクマの糞にビックリとしていた。樹林とハイマツのある山、感じの良い山であった。

         ヒグマの糞                         余市岳                        山頂に向かう
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